ニート元年 …2006年01月20日(金)
謹賀新年。
昨年の10月末日、勤め先の英会話スクールがあっけなく倒産しやがり受け持ちの低脳キッズに別れを告げると同時に俺の平日数時間の労働で正社員以上に稼げる夢のような精神的泡姫ライフにあっけなく幕が引かれました。まるでうっかりさんがやらかすおでこコツン級の軽いドジのように。脳裏をよぎるのは「地獄の黙示録」の牛の屠殺シーン、オデは「ワルキューレの騎行」のキルゴア中佐。もはや元同僚となったメス豚どもに誘われるままカラオケに繰り出せば火病ってカルメンマキを絶叫し、当然のように横たわる静寂と彼女たちの気まずそうな顔付きや雄弁な目配せ、誰も俺と目を合わせてくれやしないの。しんとした寂しさが脊髄に染み渡る。空気なんて俄然読んでやらないのです。
そうやって機会をみては場を盛り下げる作業を地道に続けたところで虚無感に支配されこそすれ晴れ間は一向に見えず、ミスチルの歌にあえなく共感してしまいそうになったり近所に住む女子高生に学校を中退をして求職活動にがむしゃらな意欲を無駄に誇示されるという形で宣戦布告をつきつけられ、シャワーの水を弾くぷるぷるお肌の小娘と俺のスタートラインが同じどころか彼女の方が俊足という現状を自覚してしまうともうツーアウト満塁。とどめの代打は金本の兄貴。ファッキン、ライト。そして鳴り響くファンファーレ。沸き起こるシュプレヒコール。え？もう終わりっすか？マージーでー？
騙し騙し毎日をやり過ごしている内に俺の中の杉村太蔵が肥大しそうな気配に焦燥感を募らせてクアラルンプールの実家に戻ってみればタカシもユリコもカタワに首ったけで俺の魂が奏でる失業者のマズルカに耳を傾けるどころか「あなたが今まで楽をしてきたツケがまわってきたんじゃないかしらね」と冷静な分析結果まで通告される始末です。嗚呼、あゞ御前らがセックスさえしなければ。米を離れて以来カタワさんはどうしているかと問い合わせをいただきましたが五体満足でクアラルンプールにほくほくと暮らしています。俺の実家に。俺の両親のフルサポートで。そろそろ2年になるでしょうか。観光ビザで。数ヶ月毎にタカシの海外出張に同行しては再度マレーシア入りと臓器密売人めいた渡航をタカシズ資金で返し繰り返しそして繰り返し。いつまでもいつまでもいつまでも。卒業したら青森の実家で細々と家具を造って恋人と籍を入れ近く父親になりたいなんて殊勝に夢を語ってくれたじゃない。あの日のカタワはもうどこにもいない…の？って優香他人さまのお宅に2年も居着かないだろ常人は。タカシとユリコの惜しみない寵愛を受けやがって。俺が大事に育てた猫ちゃんぐズに囲まれやがって。死 ね。俺なんて近所の小学生がくれたミドリガメを飼っているのです。カメ、超ひんやり。
そんなクアラルンプールに安らぎも職も見い出せず、帝国に戻れば就労意欲はいよいよストップ安限界まで落ち込みを見せるもののBUBKAを毎号欠かさず購入したり笑点の40周年記念DVDボックスやら日本昔ばなしDVDセットを購入したり東京ワキャヤマ間を何度も往復する内に貯金は静かに擦り減るばかりで基本的にも応用的にも桶狭間の戦いじみてきました。暇を持て余すあまり数少ない知人友人に片っ端から手紙を何枚も粘着にちぎっては投げ「俺ってオモロ m9（^Д^）pgyaー!!」と思えた文面も真顔になって読み返すとメンヘル患者のテンションとまったく同じそれで自分に失望したりオジャマモンの証人喚問を食い入るようにヲチしてる場合じゃなかった。でアレね、ホリエモンは白豚というベーシックスタイルを維持する中で微妙に痩せたり肥えたりめまぐるしいザマが淡くデニーロね。しかしおよそ3ヶ月も無職のマエストロとして走ってしまうと「働いたら、負け」という気分に蝕まれ始めキリキリ舞い。とりあえず俺は愛するファミリーマートでスパイシーチキンを売るひとになりたい。無印の3色ボールペンだって買えちゃうし。ローソンはムシキングの機械が扱えないから無理。だとか思考が日に日に下り最終列車ニートマインド方面へと容赦なく傾いてゆきます。洋水に浮く汚い綿埃のような塊にいっそ戻れるものならと願わずにはいられません。もう自分に疲労困憊。満身創痍キタコレ。
