12時半、地元の駅に着くと、息が白かった。見上げたらオリオン座がきりっと光ってあった。きゅっとする。
昨日、芝居を見に行った時に会った年下の女の子が「夜が好きなんですぅー」と言うので、「なんで?」と聞いたら「分かんなーい」と言う。少し考えて、「きゅっとするから?」と尋ねてみると、「そうそう!」と言葉が見つかった、という風に相づちを打ってくれた。
冬は、夜は、きゅっとする。色々なことを、思い出す。消えてゆく。
帰り道、コンビニでピザマンを買って食べた。店員さんは、私の中学の陸上部時代の後輩だった。お互いなんとなく、知らないふりをした。ふうふうしながら帰り道、ああ、また、とても満たされた気持ちがやってきた。ああ、こんな時に、こうなんだよって話せたらいいのに。すぐに、話せたらいいのに。
毎日の生活を、お金を稼ぎながら、どれだけ充実して過ごせるかを考えていきたい。例えば汁ぎれのいいお鍋。たとえばいつもより暖かいセーター。湿気のないふかふかのお布団。古本屋での時間。お気に入りのテーブルクロス。鍋パーティー。
げろげろ、書けば書くほどカントリー好きの主婦みたいな文章になってしまう。それでも、暮らしをよくするとは、そういうことだ。そういうことなんだから、仕方ない。仕事を含めた日々のほとんどが、きっと雑務である。ふわっと浮き上がるような強度の体験をできるのは、文章を書くときと、読んでいる時だけだ。しかし生活を綴る時間よりも、生活をする時間のほうがずっと長い。
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