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2001年10月22日(月) やっぱり変だよ!北条時宗



 NHKの北条時宗が、低視聴率だそうだ。共立女子大学教授の木村治美 (きむら・はるみ)さんは、『北条時宗』において、蒙古襲来を前にして時宗が恐れおののき、「この首をフビライ殿に差し上げてもよい。それでこの国が救われるのなら」という台詞をとらえて、「鎌倉武士がそんな軟弱な発想をするだろうか」と疑問を投げかけ、独協大学教授の中村粲(なかむら・あきら)さんは、「対馬.壼岐の島民に対する元・高麗兵の残虐行為は史上余りにも有名だ。
男は皆殺し。女は虜として手の平に穴を穿つて索を通し、素裸で舷側に結びつけ、好む時、ほしいまま好む儘に船上にて凌辱強姦を恣にしつつ博多へ侵逮したのだ。この残暴は史料にも記され、博多の元寇史料館所蔵、矢田一輔画「対馬の暴虐」の生々しく画くところでもある。この言語に絶する猟奇的蛮行もNHKドラマでは「むごき戦ひでございました」の一言で片付ける」と書いている。

このことを知った上で、木村教授の指摘している台詞を北条時宗ははけるのだろうか?

 最初、この時代をテレビドラマにするのはめずらしく思えて、(それにちょっとファンの女優?N・Hも出演すると聞いて)最初から見ようと決心し、期待してそうして、二回目だったかでやめてしまった。理由は大根の集まりと悟ったから、といっても、評論家や、上の教授達の言う、筋の通った言い分ではなくて、あまりな演技にびっくりして嫌気がさして以後、二度と見ていない。

 どう言うことかというと、時頼の正室で時宗の母、涼子役の浅野温子(あさの あつこ)のひどい演技のせいである。台詞回しとかそういう事ではなくて、場面は、涼子が、何かの報にあわてた様子で、L字の廊下をこちらに急ぎ足でくるシーンで、愛想つきた。歩き方が西洋歩きそのもので、つま先をあげ、かかとから着地しながら急ぎ足の演技をする(ハイヒールであれば、靴音高く、カッカッと高らかに響くところだ)、どたばたとこちらに向かってくる。

 幾重もの着物を着ているのに、足の踵部分までがはっきり見える、この場合はどんなに急いでも、すり足でしょうが!! 心は急いでいる、が、足指の前の部分に体重を移し、すり足で急ぐのが、見ているこちらにも緊迫感を与えるのに、このトレンディドラマで名を売った女優はそんなことお構いなしで演技した。

演技指導の人も何も言わないのだろうか?気がつかないのかもしれない。いくら着物がちゃんと着られても、立ち居振る舞いがおかしかったら、もう着物を着た現代劇だ。「じゃぁないですか」言葉、半疑問言葉、症候群もおりまぜて使ったらいっそ完璧なのに。

という理由から一切見なくなってしばらく、上の両教授の指摘に、「やーっぱり!」と思わず膝を打ったのだった。

それと、主人公を演じる和泉元彌の本職、狂言は面白くない。台詞が口中に含みすぎて聞いていて違和感がある。それに、狂言は本来、関西弁でっせ!
 この人は、その端正な容姿から俳優さんにむいていると思う。前に、なんかの番組で、小栗上野介(日本最初の株式会社「兵庫商社」の設立、諸色会所「商工会議所の前身」の設立、中央銀行の設立計画 、ガス灯設置と建議、鉄道建設(江戸〜横浜間)の建議などの功労者)を演じたとき思った。

 和泉流は家元(父親)を若くして失ったので、和泉元彌は、もう誰からも和泉流狂言を教わる事が出来なくなってしまった。今はもうない白鷺流などと同じように消えていく運命にあるのだろうか。










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