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お気楽人間の日々徒然。
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| 2004年02月26日(木) |
ダムに沈む温泉。〜川原湯温泉〜(完結) |
【目次からこちらへジャンプした方へ】 「その1」は27日の日記の後半に載せてあります。 (データ量が大きすぎたため、一日分では入りきらなかったらしい・・・)
温泉街への帰り道、行きの道でも気になっていた看板が目に留まる。
 「直売」とかいうコトバに滅法弱いオイラである(笑)。
ってことで「入口」と書かれた脇道をのぼる。 両脇に梅の木だろうか、桃の木だろうか、まだつぼみの固そうな木々が連なっている。
 ざらめ状の雪がまだ残っている。
てか・・・直売所ってどこ?^^;;;
と、不安になりかけた頃にようやくトタン屋根の工場らしき建物が見えてきた。 ほんとにココで売ってるの?と不安になりながらサッシの扉をガラガラと開けると ガラス窓を隔てて工場の内部が見える。機械の忙しく動く音で賑やかだ。 白衣に白い帽子に白い長靴姿のおじさんがいたので 「ここで売っていただけるんですか?」と聞くと 忙しそうなおじさんに変わって「私が請けますよ。^^」と気さくそうなおばさんが。
牛乳か飲むヨーグルトか迷って、飲むヨーグルトを頼む。
 瓶のイラストが可愛い。
直売所なので、もちろん飲食スペースなどあるハズもなく、 外で立ったままいただく。ドロっとした見た目は濃厚そうだが 酸味のきいた爽やかな美味しい味。ごっそさま♪
さっきまで降っていたみぞれまじりの小雨に冷たいヨーグルト。 体も冷えてきたので、本日のメインイベントである王湯へと向かう。
 不動滝からの帰り道から王湯を撮る。
ガラガラと扉を開け中に入ると、 左手には黒電話やら置物がごちゃごちゃ乗った受け付け場所と 管理人のおばちゃんが詰めている部屋。 右手には靴置きの棚。 真正面はふすまが閉まっていて、ここは休憩所のようだ。(別途料金必要)
詰め所からおばちゃんが「いらっしゃ〜い^^」と出てきたので、 入浴料の300円を払って、右へと廊下を進む。 廊下つきあたりのガラス戸の先は露天への入口。 その手前に内湯へ向かう下へと降りる階段が。
まずは内湯から。
 私と入れ替わりにおばちゃんが一人、内湯から出てきた。 脱衣所へ入ると、棚には荷物が一つもない。カラッポ。
・・・ってことはだな、ってことはだな、、、
 いぇ〜〜〜い!貸し切りでぇ〜〜〜〜〜〜い!!!! ここぞとばかりにデジカメで撮りまくる(笑)。
 桶はもちろん・・・・ケ・ロ・リ・ン♪(笑)
と、気の済むまで撮影をし、 サッサと化粧を落し、髪を濡らしてようやく湯船へ。。。。
あ・・・熱い。(汗) 熱いのもそのはず、ここ川原湯温泉の源泉の温度は80度近い。 それがそのままチョロチョロと湯船に注ぎ込んでいるので、 もちろん水も同じくチョロチョロと湯船へ注ぎ込まれている。
ソロソロとゆっくり入ってみると、あれ、中は意外と快適。 どうやら、沢山の人が出入りしてない分、熱い層が上の部分に出来ていたようだ。
ってことで、ジャバジャバと広い湯船をアホみたいに手足で攪拌(笑)。 すると気持のいい状態に。^^
この浴場は脱衣所からまた10段ほどの階段を降りてくるので天井が高い。 壁は古いし、窓の外は隣の建物の裏階段が見えたり、お世辞にも素敵とは言えないのだが、 独特の開放感と、昔から沢山の人に大切に使われてきた雰囲気と、上質のお湯が、 それはそれは心地よくて、何にも肩肘張る必要がなくて、すっかりリラックス。
熱いお湯なのに、気づけば30分は入っていたか(笑)。 本当に気持ち良かった。
たっぷりと内湯を味わったので、お次は露天へ・・・
先にも述べたとおり、内湯と露天は別の場所にあるので 一度服を着て(といってもすぐ脱ぐのでちゃちゃっとね(笑))階段をあがり すぐ横のガラス戸を開けて、渡り廊下を渡る。そしてまた階段を降りる。 急斜面に建っている建物ならではの造りだ。階段を降りると右が女性、左が男性。 右へ行くと・・・扉があるわけでもなくいきなり脱衣用の棚。脱衣場というか脱衣エリア。^^; ここもまた、誰の荷物も置かれてないので貸し切り状態!!(やたっっ) そして棚の横のサッシを開けるとそこは・・・
 わはーーーーっっ♪ 気持ち良さそう♪寒空に湯気がもうもうとたち込めている。
露天からの眺望は、決して遠くまで見渡せるわけではないけれど 眺めているとまるで崖の途中に浮かんでいるかのよう。 冬枯れの木立や、向かいに見える山の峰峰を見ながらひんやりした空気を味わって入る露天は格別だ。
しかしこちらも熱いこと。^^; 内湯より熱い気がする。それだけ長時間、誰も入ってないようだ。 ってことで、再度バシャバシャバシャと人間攪拌機となってお湯をかき回す(笑)。
源泉の湯口に竹のコップが置かれていたので、飲泉をしてみた。 さすがに80度近いお湯につき、フーフーしながら(笑)。 お味は・・・えーっと・・・ゆで卵をサラサラで透明の液体にした感じの味(笑)。 もわっとくる硫黄臭にまずむせてしまうので、 私はどちらかというと伊香保の鉄サビ味の方が飲める気がする。 (まぁどっちも美味ではないんだけど(笑))
しかし気持のいいお湯だ。体の芯から暖めてくれる感じ。 じわじわじわじわ・・・と体にしみこむ温かさを楽しんだり、 谷から吹き上げる風を顔に当てたり。寒い季節の温泉は本当に格別。
のぼせそうになると湯船から上がって休憩。体が冷えないように 背中に手ぬぐいを広げてお湯をザバーッとかけたりして(これがまた気持ちいい!) 一人湯治ごっこ(笑)。
またココでも30分ほど浸かっていただろうか。 鏡に映った湯上がり姿は真っ赤にゆだっていた(笑)。
すっかりポカポカになって、王湯をあとにする。 帰りの電車の時間まであと50分ほど。夕暮れ時の寂れた町並みを散策しつつ 閉鎖の危機にあるという例の笹湯を探してみることにしたのだが、これがなかなか見つからない。
通りから一本路地に入った奥、というのは確かなのだがどこにも看板がない。 やはり閉鎖されてしまったのだろうか?でも建物を見るだけ見ておきたいなぁと 適当な路地に入る。が、どうやらそこは駐車場らしきスペース。
・・・ん?でもまだ先に進めるみたいだぞ?奥へと進む。 その先に見えた木造の古い家屋、あんな感じの建物だったよな・・・近づいてみる。 窓から中の様子が見えるのだが・・・内部はタイル貼り。 真ん中にあるのは・・・湯船?^^;;;
ってことで、あったーっ!!!!
どうやら、笹湯の裏側から来てしまったらしい。^^;
 笹湯入口。管理人すらいない、町の共同浴場である。
「中の箱に入浴料をお入れください。」などの注意書きがある入口は暗く、 やっているのかどうかさえ分からないほど。しかし、入口から入ってすぐ左の男湯の湯船は たんたんと湯をたたえ、湯口からも湯が入り込んでいるようだ。 (男湯は窓からも、入口からも内部の様子が見える)
浴場は電気は点いていないが、大きな窓から入る光で明るさはじゅうぶん。 戸に手をかけるとガラガラと開く。右手扉の向こうの女湯からは湯を使う音が聞こえてくる。 どうやら閉鎖はされていないみたい。
時間もあることだし、浸かっていかない手はない! ってことで、入口入ってすぐの箱に入浴料300円を入れ、右手扉をあけ女湯へ。
扉を開けるとそこはもう浴場である。 内部はくもりガラスの窓が大きく、明るい。 天井も高く外観からの印象とは大きく違い開放感がある。 すぐ正面には脱衣用の棚が12ほど。 タイルを張り巡らせた洗い場は脱衣スペースから1段降りた位置にある。 先客におばあちゃんが一人、ぬか袋で体を洗っていた。
かけ湯をして、ゆっくり湯船に入る。 ここのお湯ももちろん熱い源泉をひいているので 常にホースからチョロチョロと水を流し込んでいる。 しかし、水で薄まってもこの温泉の濃さが薄まった感じがしないのが不思議だ。
湯に浸かりながらあらためて浴場を見渡す。 木造のそれは、壁板の隙間から外の光が見えたりして、とても古く素朴な風情。 だからと言って決してオンボロという感じでもなく、 昔から大切に町や旅の人に使われてきたのだなぁという なんとも言えない大きな空気に包まれているような気分になる。
しばらくすると、もう一人、おばちゃんが入って来て、 先客のおばあちゃんと世間話をしている。 どうやら近くの宿から来たというよりは地元の人らしい。
この町の日常に少しだけお邪魔させてもらった気持になって、湯船からあがった。
 笹湯入口へのアプローチ。 普通の道順で行っても気づかないで引き返してしまいそうだ。
うすぼんやりとした夕闇の青い色がたちこめた川原湯の町を駅へ向かって下る。 昼間は閑散とした空気を感じたこの町も、古い家屋の奥から小さく漏れてくる 生活の光に不思議と夕景の寂しさよりも温かさが感じられた。
 川原湯駅駅舎。 窓口は閉まってるし、誰もいないしで この駅、電車停まらんのとちゃうか?と不安に(笑)。
 ホームより草津方面を写す。
通学の高校生で賑やかな17:36発高崎行き吾妻線に乗り、 高崎から新幹線ときに乗車。
旅といえば駅弁でしょう・・・
 ってことで昼に目をつけておいたチャーシュー弁当を購入。 お味は・・・もう少し濃い目が好みかな。
ダム開発の着々と進む川原湯の町は、その土地を離れていった者の痕跡と 離れずに生活を続けている者の不変の空気とが混在した小さな町。
寂しくも暖かい。
よほどのどんでん返しがない限りは確実に4〜5年後には水の底に沈む運命だ。 そして温泉街は源泉をそのまま生かして新しく移動することになるらしい。 新たな活気が生まれ、このお湯がこれからも楽しめることは嬉しいが、 この小さな古い町のこの空気は水の底へ・・・
もう一度、沈む前にまた来よう。
蕎麦の蒲焼きリベンジもあるしね(笑)。
(おわり)
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