どきどき vol.3
2話で終わりと思ったら、まだ終わらなかった。 呆れてますか。
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しばれる車に乗り込んだ。 カーステレオからは斉藤和義。 昼間、車に乗り込んだとき、「お、斉藤だね?」と呼び捨ててた ダーリン。「わかりますー?」と聞いたら「声ですぐわかるよ」 と笑ってた。ちょっと嬉しかった。
ダーリンは映画祭のことを、とても気にしてくれていた。 活を入れる意味でも、ここは「テーマ性」を重要視したほうが いいと力説している。しかもわたしたちが思いも付かないような アイディアをポンポンと出す。もうどうにも止まらない。
「カトちゃん、この辺でもっと飲める店ないの?」 ダーリンが尋ねてくる。ないよ!ここ田舎なんだよ!と思いつつ、 「ないですよぅ。コンビニでお酒買って、飲みなおすしかない かもしれませんよ」などという言葉しか出てこない自分も悲しい。
わたしもその日は仕事だし、もう3:40くらいだし、帰らないとと 思っていたので、車をホテル方面へと走らせる。 「あの店、酒が美味しくないんだもん。」とスネてもいる。 困ったなぁ…と思ったら、閃いた。 そうだ、あの店があったじゃないの!
わたしたちのホームだ(笑)←映画祭の実行委員がやってる店。
お店に向かうと電気はついてるものの、看板が出てない。 イヤーな予感がする。まずは車を停めて、店に向かう。 するとマスターがシャッターを下ろすところだった!
「ちょ、ちょっと待った!」という感じで滑り込む。 マスターも映画を観てたので、歓迎された。
それからだよ、ダーリンがギラギラと語り出す。 飲みの最中、寝てないダーリンを見るのは久し振りだ(笑) わたしは仕事が気になって気になって、集中できない。 刻々と時間は過ぎる。4時、4時半、5時、ご、ご、5時ぃー?
ダーリンもわたしの時間をずっと気にしている。 「明日仕事だよね、ごめんね、もうこんな時間だよね」 「休んじゃえば?あ、そんなこと言っちゃダメですよね…」
「休んじゃえば?」
実はずっと迷っていた。 ダーリンは次の日、13:24の飛行機で帰る。 それまでお土産を一緒に選んだり、昼食をとったりするのに お付き合いしたいなぁと。 お土産はここがいいよ!と教えたら、どこにあるの!?と 興味津々で、ぜひに連れて行ってあげたかったのだ。
周りの友人たちも、 「こんな機会滅多にないんだから、仕事休めないの?!」と 背中をガンガン押してくれる。「また歯折れたことにすれば?」 (「また」が余計)とか「産婦人科行きますと言えば?」とか 勝手な理由を山ほど作ってくれた。
Mゴッホさんに至っては「わたしなら休む。」と断言してるし。 わたしの脳内CPUが目まぐるしく計算してる。 休むのは簡単。でも今日から新人に仕事を教えなきゃダメ。 休んでもたぶん怒られない。でも良心が痛む。
休んじゃおうか…。 ふとそういう思いが頭をかすめる。 そうすれば、心置きなくダーリンに付き合える。 ミチヨの天使と悪魔が激しく葛藤。むむむむーーーー!
結局勝ったのは天使。泣く泣く、 「ダーリン、じゃ、わたしそろそろ…」と切り出してみる。
するとダーリン、 「そうだよね、仕事だもんね、じゃ、ボクたちもそろそろ」と 席を立つ。ごめんねダーリン。もっと一緒にいたいのは山々なの。 でもね、知らないと思うけどね、もう朝なの…(´Д⊂
そういう感じで、am5:10に店を出る。 牛飼いくんをホテルに送る。ダーリンのホテルに向かう。
「俺ね、監督で食べられなくなったら喫茶店やる」 とダーリンがつぶやく。さっきもね、S氏に焙煎の仕方をいろいろ 聞いたんだよと。 「じゃ、ばあちゃんになったら、珈琲飲みに行きますよ」と私も 答える。「でもばあちゃんになっても、苗字このままだったら イヤだなぁ(笑)」と笑ってみる。
ダーリンは「結婚したいの?」と尋ねる。 「一応、人並みには結婚願望あるんですよ」と答える。 「でも本気でしたいと思ってる?」と聞かれる。 「ううん、きっと思ってない」と答える。 「面倒くさいんだもの、いろんなことが」と追加する。 「そうか」とダーリンが笑う。
「でも子供は欲しいと思う」とつぶやく。 「作れるでしょう」と答える。 「でも年が年だもの、大変ですよ」と溜息をつく。 「大丈夫だよ」となぐさめられる。
なんでこんな朝こっぱやくに、愛する男と結婚の話をしてるのか! でも面白かった、非常に。たぶんこの話題は初めてだわ(笑)
ということで、あっという間にホテルに着いた。 名残惜しいなぁと思う。 わたしも車を降りる。それが礼儀だから。 「じゃ、今日はありがとう」とダーリンが言った。 「お越しいただいて本当にありがとうございました」と頭を下げる。 「じゃ、また」とダーリンが手を出した。 「じゃ、また」とがっしりと握手をした。
考えるより先に手が出た。
「ハグハグ」
思わず衝動的に抱きついた。 青森でダーリンがそうしてくれたように。
「ハグハグ」
ダーリンがおどけて笑ってた。
「じゃ、またね。」「気をつけて!」「ありがとう」「じゃ、また」
手を振って別れた。 駅前は工事のトラックがたくさんいて、黄色のランプがクルクル 回ってた。ギャラリーは工事のおじさんたち(笑) 振り返ると、ダーリンはホテルに入らず、外で見送ってくれる。 何回も手を振ったところで、青信号。 ばいばい、また、絶対いつかね。
家に帰って気が付いた。 「お土産渡すの忘れた…(´Д⊂」
ダーリンに是非食べてもらいたかった「切干松前」(渋い)などを 買っていたのだ。渡したいけど、もはやam5:40…。 少しでも寝ないと…!
みっちゃん、諦めて寝ることにした。
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