アドレナリンディズ vol.2
わたしが一体なんのお手伝いを?と思うでしょうが、映画には かかせない、「車止め」という重要な任務がありますの。 本番の最中に、一般車両が入ってこれないように赤色灯を持ち、 車を停めて説明をし、本番の間だけ通行止めにする仕事。
これがまた一般市民に怒鳴られたりするわけでしてね。 あまりやりたい仕事ではないものの、いかんせん私たちには このくらいしかお手伝いできないわけでして。
2人1組になりトランシーバーを持ち、度重なるテストと本番ごとに 車を停めて説明しての繰り返し。今回は深夜のロケだったことも あり、車通りが少なくて助かったけれど。
「なに、なんのロケ??」「ダレ来てるのっ?」 一般ピーポーに説明攻め。隠せば隠すほど突っ込まれるのは わかっていたので、素直にこうこうこういう映画で、俳優Mと 女優Mがあそこにいるよーと教えてあげる。若者たち大喜び!
挙句の果てに、「撮影頑張ってください!」とか「教えてくれて ありがとう!」とか、「公開したら絶対観に行きます!」とか 嬉しくなる言葉をたくさんもらった。
映画のお手伝いをしてて何が嬉しいって、いつもは一般市民と 同じ目線のわたしが、そのときだけは制作部にいて、何となく 特別なことをしているという自負が芽生えたり、いつもは あっち側の自分が、今日だけはこっち側にいるという新鮮さだったり お手伝いをすることで誰かに感謝されたり、それを楽しいと思えたり なんとなく非日常的な感じが、なんとなく嬉しいのである。 今回も俳優さんの演技なんてまーーーーったく見えない場所で ただ赤色灯を振っているだけなのだけど、それでもその熱意の 塊の中にいるというちょっとした興奮が心地よいのだった。
モスラ並みの蛾に耳元でバサバサ羽ばたかれたり、わらじ虫の 大群の石に腰を下ろしそうになったり、いろいろ問題はあったに しろ、無事撮影終了。結局全ての撮影を終えたのは、am2:30。
監督が気をきかせてくれて、地元のお手伝いの人と俳優Mと 写真を撮ってくれた。ちょっと嬉しい。
本当に映画を作るというのは戦場だなぁと思う。 それぞれが自分のなすべきことを、ダレに言われるまでもなく 真剣に立ち向かい、チームでひとつのことを成し遂げるのだ。
そのほんの片隅に、わたしがいたんだなぁとしみじみ思う。 その片隅にわたしがいて良かったなぁとしみじみ思う。
その日のラストカットを撮り終えたら、ほかほかのチャイニーズ チキンバーガーが待っていた。お疲れさまでした〜!という声を 聞きながら、家路に着く。疲れたけど心地よかった。
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