月とキャベツと湯気と星。vol.5
さていよいよ大本命の『月キャベ』上映だ。 伊参までやってきて、これを観ずして帰れるか!と決起、職場では ヒンシュクをかいつつ、はるばる北海道からやってきたのだ!
ダーの舞台挨拶。 彼がこれを撮ったときは、まだこんな顔(月キャベ資料室より拝借) だったのに、よくぞここまで大きくなられた、立派になられた! みっちゃん感慨深い。それにしても笑える画像だ(≧m≦) ちなみに使用後。<現在>
ダーは毎年ここで上映されることに感謝しつつ、どうぞゆっくり 楽しんでご覧下さいというようなことを言い、満面の笑みで舞台を 降りた。ミチヨは姿勢を正し、月キャベが始まるその瞬間を神聖な 気持ちで待つ。
実はわたし、この映画を最初に観たときはフツーだと思っていた。 ヘタクソな踊りだなぁ。もっと可愛いヒロイン使えばいいのに。 あー、こういう展開かぁ…。今考えれば失礼極まりない。
わたしがコレを見直したのは、『オー・〇・ヴィ』を撮っている最中 だった。クランクアップを目前に控えた慌しい中、ぽっかりと時間が 空いたのだ。そのときはもうダーにメロメロンだったので温故知新! などと言いつつ見直したのだった。
観ている最中ずっとドキドキしていた。 あー、コレってこんなに切なかったっけ?こんなに優しかったっけ? 1度目に観たときに感じた些細な違和感はすべて吹っ飛んだ。
例えば月の満ち欠け、例えば野に咲く小さな花が枯れていくところ、 例えば小鳥の羽ばたきのようなキャベツの音や、ヒバナを追いかける ハナビのガニ股、窓に貼られた一枚のキャベツ、とにかくいろんな ところがわたしを捉えた。彼はこういう作品を作る人なんだと。
彼の視線が好きだった。 たぶん彼と直接知り合わなければ、この映画を見直すことはなかった かもしれない。彼を知ったからこそ、彼の人柄を好きになったからこそ 響いてきたのだ。共鳴したのだ。
ボロボロだった。ラストのまさやんには本当に泣かされた。 ますますダーが好きになった。 月キャベは、そういう思い出の作品だったのだ。
そしてわたしは今回、初めてフィルムで月キャベを観た。 集中していたせいもあるし、聖地で見ているという昂りもあった。 けれどこの緊張感は一体なんだろう。何度も何度も観ているはずで storyはほぼ完璧に頭に入っている。けれど花火やヒバナの息遣いが いちいち胸を打ち、一緒に近づき、一緒に離れていった。
泣けて泣けて仕方がなかった。胸までたくし上げてたひざ掛けを 鼻の下まで持っていき、うーうー泣いた。月キャベでこんなに泣いたのは 初めて!いったいわたしに何が起こったの!(笑)
涙を押し込めて会場の外に出た。 昨日と同じように、グランドには星が散りばめられていた。 玄関にダーがいた。
「監督ぅ、フィルムで初めて観ましたぁ…」 「あ、そうでしたか。それでどうでした?」 「泣けちゃった。」 「あれのどこで泣くの(笑)」 「最後のねー、花火の歌でねー、号泣よ、もう(T-T)」 「じゃぁ、映画じゃなくてヤマザキの歌にやられたんじゃん(笑)」 「それもあるけどー、いろんなことで泣けちゃった」 「あとどこで?」 「なんでもないとこなんだけどね、あの原っぱのところでね、 花火がハーモニカ吹いて、ヒバナが踊るとこね、あそことか、 シアワセで泣けたよぅ。好きな人の演奏する音楽で、一番好きな ことをするシアワセ。なんでこんなとこで泣いてんだ、わし!って 思いながらもジワーっときた。」「ふんふん。(嬉しそう)」
「あとね、オー・〇・ヴィのクランクアップのときにね、偶然私の 車にヤマザキのCDがかかっててね"one more time〜"が流れてね。」 「うん。」 「♪いつでも探しているよ、どっかにキミの姿を〜ってとこでね 実は泣いたんですよ。今日まではこの街のどこかに監督とか スタッフとか絶対にいたのに、明日からは誰もいなくて、大森浜 とか漁火とか電車とか観るたびに泣けてきてね。太田さんに ナニ泣いてんだ、終わったんじゃなくて始まるんだよって肩を 抱かれながら松風町を歩いたんだよ。 そういうのを思い出しちゃってまた泣けちゃって(T_T)」
ダーはちょっと困った顔をして笑ってた。 でもイヤそうではなかった。ほんのちょっぴり嬉しそうだった。 いや、それはわたしの贔屓目か(笑)
偶然、MIYUが最近コレを観たとメールをくれていたので早速メール をしてみた。「憧れの人と距離が縮まっていく感じが私とダブる」と。 「わかるよ、その気持ち」と返信をくれた。そしてある1文が私を 狼狽させた。わ、わたしがデスカっ!あわあわ、オロオロした(笑) その名台詞はヒ・ミ・ツ☆ MIYU、チミは大人な女性よのぅ…。
それから伊参のスタッフの皆さんにお礼を言いにいった。 みなさん本当に温かくて、みんなで何かをしようという気持ちが 溢れていて、それが直に伝わってきた。去年遊びにきてくれた年配の 女性のスタッフが、「加藤さんに皆さんお礼を言いたがってますので キャンドルのところへどうぞ」と促されたので、何のことか判らない まま、地上の星が瞬くグランドへ降りた。
するとキャンドルの合間合間にスタッフが立ち並び、観客全員に 「ありがとうございました」「またのご来場をお待ちしています」 などと温かい言葉で見送ってくれているのだ。私たちの映画祭でも それはやってる。だけど、実行委員さんがみんな笑顔で、 「加藤さん、遠いところありがとう!また来て下さい!」とか 「1人で来てくれて本当に嬉しかった。また絶対逢いましょう」とか 「こうやって映画祭同士の繋がりができるって素晴らしいです、また 函館にも絶対に行きますよ!」とか、とにかく泣ける言葉をくれるのだ。 ミチヨ、そこでも涙。うっかり「うわーん」とやっちゃいそうだったので、 お礼もそこそこに逃げ出してこっそり涙を拭いた。
猫の手さんがおっしゃっていたけど、「伊参は気温以外は、暖かい 思い出でいっぱいだった」というのが身に沁みて分かった。 映画祭というよりも、どのイベントでも、人の心に届いてこそ意味が あるのだなぁと思った。夕飯は無料でやきそばと温かいコーンスープ。 帰りには観客全員にキャベツのお土産までついていた。 本当に何もないところだったけど、人の心が溢れていたよ。
それから撤収。ダーも一生懸命お手伝いしてた。 わたしもキャンドルを片付けたり、ちょろっとお手伝いをした。 あー、終わったなぁ…。ちょっぴり淋しく思ったりもした。
伊参の夜は更けて、そしていよいよダーとのラスト温泉旅館篇に突入。 …長いって。えぇ、えぇ、重々わかっております(-"-;)
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