comfortable diary



「空の穴」と熊切監督と寺島さん。

東京事務局のN氏の横で、大学生っぽい男性が所在なげに立っていた。
身長は私より少しだけ大きいくらい。パーカーをきて、ネイビーブルーの
マフラーをぐるぐるに巻き、なんだかそのへんにいる普通の男の子という
感じだった。お手伝いの大学生かな…と思っていた。

そのとき。
東京事務局のN氏が、「あ、こちら熊切監督です」と言った。
え?今なんて?え??監督ぅ〜?うわーーー!なんて失礼なことを!
「あ、お世話になります。映画祭実行委員の加藤です。」と何事もなかった
かのようにご挨拶をしてみる。「あ、どうも」とペコリと頭を下げる。
カワイイっ!この人、すごくいいっ!(第一印象)

N氏が「なんだか監督がお腹を空かせているみたいなので、なにか食べに
行きたいのですが」と言ってきた。
「え?(きらり☆)行きましょう、食べに。」即決。全くもうミーハー
なんだから。結局映画祭の女性スタッフを誘い、N氏と監督と私と4人で
居酒屋に行くことにする。きったないのだけど極上の魚を安く食べさせて
くれるお店があるので、そこへご案内するもなんとオヤスミ。結局、映画
祭のスタッフがよくいく居酒屋へ連れていってもらう。私も初めてのお店。
着くと、青森映画祭のスタッフの方々がもう1杯やっているところだった。

映画祭には「イルプレ」というプレス誌(っていうか新聞みたいなの)を
毎日発行している。私もイルプレ班。これから明日号の原稿書きがある。
取材をいいことに熊切監督のわきをがっちり固める函館映画祭陣(笑)

まずは明日上映予定の「空の穴」についてお話を伺う。
でも「空の穴」は私の担当ではなくYさんの担当だったので、彼女にお願い
する。彼女はうまい具合に監督の話を引き出して行く。さすがだわ。
監督は帯広出身ということで、どうしてもあの空気の中でこの作品をとって
みたかったのだそうだ。望郷とかそういうのではなく、あの広大な大地や
360度見渡す限りのパノラマ感を表現したかったと。
私は帯広といえば「豚丼」のイメージしかわかなかった。昔、彼氏と旅行
して並んで食べた豚丼。そのことをお話してみたら、「あ、今回はその
豚丼がいいキーワードになってるんですよ」と乗ってきてくれた。わーい。
それからしばらくは、どこの豚丼が美味しいとか、でも本当は豚丼は家庭
料理なので、帯広の人はお店で食べないんだよとか、豚丼三昧(笑)
それだけでは飽きたらずラーメン談義に花を咲かせる。監督はやっぱり
札幌の「純蓮」(字、あってる?)が好きだと力説していた。
函館でもぜひラーメンの美味しいところにいきたいから、情報をおくれと
言われ、2つのラーメン屋を教えてみた。割り箸の入っていた紙にメモする
監督をヒジョーに愛しいと思う。なんて素朴で可愛らしい方なんでしょ!

「写真を撮ってもらえますか?」と言ったら、すぐOKがでた。きゃ☆
私も顔はあまり大きいほうではないと思うのだけど、もしかすると監督は
私よりも小さいのではないのだろうかというほど、小顔。
いきなりピースをし始めるから笑ってしまう。うぅ、そんなおしゃまなとこ
もステキ。いきなりコンタクトを外しメガネなんかしちゃって、そこもまた
キュート。私の心には篠原監督がいながらも、とても好感を覚えてしまう。

ふと見ると左手の中指には包帯がまいてあった。
「どうしたんですか?」って聞いたら、「空の穴を撮っているときに、クセ
でずっと掻いていたら、それから直らないんですよ」だって(笑)
もう1年も前の話じゃんっ!クセで掻いてしまわないように、ガードしている
らしい。いやん、そんなことろもまたカワイイ。まさしくワシのツボだった。

そんな監督の作品を見逃すわけにはいかない!
大好きな寺島進さんもゲストにきてるし。
って思ったら、寺島さんに偶然ロープウェー乗り場でばったり。ちょうど
着いたところだったらしい。ご挨拶をし、思い切って「今日は暖かいですね」
と話し掛けてみた。そうしたら、「そうだねー、すごく暖かいね。ずっと
こんな感じなの?」となんと気さくに話し掛けて下さった。「昨日は実は
すごい吹雪だったんですよ〜」とこちらもリラックス♪
以前函館に1人旅にきたこととか、とにかく陽気に話してくださった。
ロープウェーの中はとても寒く、爬虫類の柄のボストンバッグからいきなり
「Brother」(北野武監督)のベンチコートをゴソゴソ取り出して、着出す
ところも飾っていなくてステキ!(しかもシワシワだし^^;)

そんなこんなでとにかく「空の穴」を鑑賞。
熊切監督に初めに触れていたのが良かったのかもしれない。いや、触れていな
くても十分良かった。とにかくとにかく良いのだ。何が…?んー、全部。
寺島さん演じる「いっちゃん」のキャラが、ヴィンセント・ギャロとかぶった
のは私だけだろうか。和製「バッファロー’66」という感じ。
しかもあのクッキーの場面のその後が見られたような気持ちになる。
男の格好悪さや、いじらしさ、マヌケさや、真剣さが実によく出ているのだ。
でも私はいっちゃんをとても近くに感じた。誰もが持っている劣等感や人を
愛する気持ち、誰かのために何かをしてあげたくなる衝動。
なんていうんだろう、十勝の大地と、空の丸さと、水溜りのバランス。
…完璧!寺島さん素晴らしいっ!熊切監督、尊敬しちゃいますっ!

また1人大好きな監督が増えた。今年観た邦画では絶対に3本の指に入る!
あぁ何故メールアドレスを聞いておかなかったのだろう…。
何故感想を伝えることができなかったのだろう…!
もし観る機会があったなら、絶対に観て!彼の優しさが伝わってくるよ。

2001年12月05日(水)




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