comfortable diary



one more time,one more chance

とうとうクランクアップしちゃいました…。
駅前通を封鎖して(ボランティアスタッフ70人以上総動員)、雨の中スモークを
たき電車を走らせ…。人ひとりいない大門通りが狂おしいまでに幻想的に彩られ
それがなおさら寂寥感をかきたてるのです。穏やかな夜でした。願ってもいない
幸運の雨が降りしきりました。これが最後のシーンです。そしてとても大切な
シーンです。だけどこれで何もかもが終わってしまうという思いが、痛くて苦し
くて私は潰れてしまいそうでした…。
撮影終了の声を聞かぬまま、私はお夜食の炊き出しの準備に向かう。。
これも最後だから。最後の炊き出しだから…。

撮影はお昼から押し気味で、今日の撮影も時間いっぱいまでかかると思っていた。
が、予想よりかなり早くに撮影終了の電話が入る。え?まじ?もう終わったの?
ぎゃーーー!イモ団子汁が冷たいままだー!ココアも全て冷たいっ!
恐ろしい勢いで準備にとりかかる。みんな走っている。まるで形相は赤鬼だ。
(外のロケのお手伝いのつもりだったのでみんな非常に厚着だったの^^;)
準備を始めて何分もたたないうちに、みんな戻ってきた。ヤバい。150人分の汁が
何分で温まるワケがないっ。今までのなかで一番ビビった。一瞬地獄を見た(笑)
でも焦っても汁は温まらないので、もう開き直る。いつか沸くさ。

そんなこんなでロケ中最後の炊き出しは、とんでもない失態を演じて幕を閉じた。
でもこれもいい思い出。本当に楽しかった。

全ての後片付けを終えたのは2時も過ぎた頃だった。
このまま帰ろうかと思ったが、最後に皆さんにご挨拶をして帰ろうかということ
になり、2階のフィニステールに顔をだす。
スチールカメラのD氏に呼ばれ、床に座り楽しいヒトトキを過ごす。今回彼は
制作スタッフと映画祭スタッフ(主に女性だけど^^;)のいい橋渡し的な役割を
果たしてくれた。彼がいてくれたお陰で、仲良くできたスタッフがたくさんいた。
最後にお礼が言えてよかった。本当にありがとう。

そこに監督がやってくる。そして私たちの横に座りにこやかに微笑んでいる。
「最後の電車、いいシーンになりましたか?」と聞いたら、自信満々の笑顔が
返ってきた。少しでも不安があったら絶対にできない顔だった。いい顔だった。
本当に「オー・ド・ヴィ」は何かに守られている。こんなに絶妙なタイミングで
雨が降るなんて。絶対にすごい作品になる。自然までもがこの作品を応援して
くれている…。

ふと監督が私をみてこう言った。
「そのメガネ似合ってるよね」
うわっ。褒められた!もしかして監督、メガネフェチ?(爆)
「えー、ホントですか?メガネ外した方がいいって良く言われるんですよ〜」
「いやいや、本当に似合ってるよ」

そんなに似合ってますかっ、監督っ!
私はこれから寝るときもお風呂のときもメガネ外しませんっ!←バカ
あうー、この間買った遊びのメガネ(緑と茶色2個買ったの。だって1個8000円
だったんだもん)はしばらくしないでおくわっ。

フィニステールは異様に盛り上がっていた。
泣いている人も、疲れ果てて寝ている人もいた。でもみんないい表情してた。
何かを達成した人にしかできない表情だった。ちょっと羨ましかったよ…。
次の日も仕事があるので3時くらいで帰ることにする。
映画祭スタッフのTさんを送りがてら車を運転する。
狙ったわけでもなんでもないのに、山崎まさよしの「one more time,one more
chance」(月キャベのあの名曲)がカーステレオから流れてきた…。

どうしよう、もうだめだ。
張り詰めていたものがふっつり切れた。さっきまで我慢していたものが溢れ出す。

***************one more time,one more chance**********
いつでも探しているよ どっかに君の姿を 交差点でも夢の中でも
こんなところにいるはずもないのに
奇跡がもしも起こるなら今すぐ君に見せたい
新しい朝、これからの僕、言えなかった「好き」という言葉も
*******************************masayoshi yamazaki******

帰り道、ロケのあった電停、漁り火が灯る海、ハライソのカレー屋さん…をみて
彼たちを探していた。今日までこの街のどこかにいた撮影隊が明日からはもう
どこにもいない。監督もスタッフも…。淋しいなぁ…。淋しいなぁ…。
なんだか泣けた。これで終わるわけじゃ決してないのに。


2001年10月29日(月)




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