日々の泡・あるいは魚の寝言

2008年05月08日(木) 妖精のチェンバロ

…とかなんとかして、はーい、西新宿にきています。

今風の風水だかなんだかでいうと、この新宿の高層ビル群はパワースポットだという話があるわけですが、たしかにこのへんの宿で一晩すごすごとに、疲れが癒えていくというか、充電されていくような感覚があります。
気のせいかもしれないけど、そういう野暮なことは童話作家はいわないのです。職業柄。

さっき、夕方五時になったとき、どこかの時計が時を告げる音が聞こえました。それが、鐘の音のような、オルゴールのような、長めのメロディがついた時報で、そうちょうど、妖精が奏でるチェンバロのような感じに聞こえました。
私のいるホテルの近くの、どこかの空で、その音色は響いていました。

この宿の、そしてこのフロアのこの部屋に泊まるのは、もう何年目、何度目かのことで、だから、夕方のこの時間に、あんな素敵な時報が鳴っていたとしたら、いままでなんできづかなかったのか、ちょっと不思議なのですが…
優しい柔らかい音色に、しばしパソコンのキーをたたく手を止めて、耳を傾けました。

どこで鳴っている時報なのか、聞くことも調べることもできるでしょうけれど、あえて知らないままにいるのも、ロマンチックかなと思いました。
いい音楽を聴いた。

でも、きれいでよく通る音だったなあ。
最初、近くの部屋の誰かが、なにかアンティークな目覚まし時計でも鳴らしているのかと思ったくらい、とても近くで聞こえたのです。


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