日々の泡・あるいは魚の寝言

2004年05月05日(水) 読書の日

昨日から、肩こりがひどかったので、お仕事は一時休みにして、二日続けて、読書の日にしました。
ちょうど、昨年から今年の初めにいただいた本で、未読のものが何冊もあって、ずっと気にかかっていたので。

とりあえず、今回は、本の山の中から、新人作家の方の本を、三冊発掘してきて、拝読いたしました。
感想遅れてしまって、申し訳ないです…。ごめんなさい。

「ゴリラのスターライト」(新村千江・ひくまの出版)
「占い魔女2〜呪われた鏡」(池田美代子・岩崎書店)
「ゆうびん受けのうさぎ」(河俣規世佳・あかね書房)

の、三冊を拝読いたしました。

まず、「ゴリラのスターライト」。
動物園にいる年老いたゴリラと、少年との、幻想的な会話で構成された物語です。ヨーロッパの映画とか、外国の絵本みたいな雰囲気のある、しゃれたお話で、夢とも現実ともつかないファンタジー世界の描き方が、うまい、と思いました。
ただ、クライマックスの、おばあちゃんの台詞が、語りすぎですね。
おとなとして、つい、人生や出会いについて語りたくなる気持ちはわかるんですが、そこで語ると、子どもが夢から覚めてしまうんで(^^;)
言葉は使わず、行間で読ませるようにしてください。
テーマといい、本全体が持つ雰囲気といい、良い本だと思いました(^-^)

「占い魔女2〜呪われた鏡」。
怪奇現象の謎を究明しようとする、オカルト少女(笑)と、発明少年の物語。
おもしろい作品を書こう、という意欲が感じられる好感が持てる本でした。
舞台設定と、小道具の使い方がおもしろいです。鎌倉に行きたくなりました(^-^)。
でもしかし…前に日記でふれた、「ねこまた妖怪伝」(藤野恵美さん作)と、欠点が同じです。
一言でいうと、バランスがよくないんです。
枚数の割に、内容が盛り込みすぎで、キャラクターの数が多すぎるんです。
キャラクターの一人一人は、魅力的なんですが…いい感じなんですが…この枚数に、この人数だと、さすがに描き切れていません。
大長編の場合、キャラクターの数を多くして、いろんなエピソードを語る、というのもありなんですが、子ども向けでこの枚数では、なるべくキャラクターの数を減らしてゆく方向でもっていかないと、薄味の作品になります。

それと、一番大事な(まずい)ことですが、お話の本筋に、主人公が部外者になってしまっていて、深く関わっていないので、子ども読者が、物語に感情移入しにくいんです。<子ども読者は主人公に同化して読書するので

この物語だったら、私なら、発明少年を主人公にして、彼の視点で書くのになあ、と思いました。その方がすっきりしたと思います。
(一巻があっての話なので、難しいかとも思いますが…)。
それと、三巻が出るなら、次からは、「妖怪辞典」を最初につけるといいかな、と、思いました。登場人物紹介より、その巻に出てくる妖怪の説明が、イントロにあった方が、たぶん読者には親切で、なおかつ、気持ちが盛り上がると思いますよ(^-^)

季節風大会でおあいした時も、こんな話をした記憶があるんですが、池田さんはきっと、あふれるように、次から次へと、いろんな情景やエピソードを思いつく人なんでしょうね。でも、いろいろ思いつく才能を持っている人は、けずる方に頭をもっていかないといけないんです。
がんばってください。

「ゆうびん受けのうさぎ」。
このお話は(笑)、いうことなかったです(^-^)
ちょっとさみしい四年生の女の子と、郵便受けのしゃべるうさぎさんの話。
河俣さんの二冊目の本ですが、一冊目(も優しい感じで良かったですが)を遙かに超えた、高いレベルの本だと思いました。
上でバランスの話をしましたが、この本は、その辺、とてもセンスがいいんですね。読んでいて、つっかえるところもなく、さらさらと、きわめて快適な読書を楽しむことができましたし、読後感もとても良かった。
ラストシーンの幸福感の残る余韻も、すごくいい(^-^)。筆のとどめ方が、いい。こうでなくては、という感じ。
上手ですねえ。
以前の日記で話題にした、雨子さんもなんとか、河俣さんみたいな感じで、おとなになっていってほしいんだけどな、なんて思いました。

わずかに気になったのは、ラスト近くの、両親ふたりの会話。
少し長いですね。一言二言の会話か、台詞なくてもいいのでは?
あと、タイトルで損をしていると思いました。
何かもう少し、きれいな感じにしたかったですね。
一目でファンタジーだとわかるタイトルに。
本のタイトルというのは、広告というか、キャッチコピーのようなものなので、物語の雰囲気を上手に表すものでありたいです。

それにしても、園芸好きの私には、よけいに楽しい物語であり。
挿絵の狩野富貴子先生の描くところのうさぎさんが、「いかにも」な、外国製の郵便受けの絵にありそうなうさぎさんなところも、ツボでありました。

てな感じで、三人の新人作家の皆様。
お待たせいたしましたが、感想文でございました。
多少厳しいところもあったかと思いますが、そのかわり、ほめたところは、わずかもお世辞ではありません。ので。お許しくださいね。


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