日々の泡・あるいは魚の寝言

2002年07月29日(月) びっくりの目薬

夕べ遅くから、アメショーりや子が、右目をしょぼしょぼさせていました。
どうもなにかにぶつけたらしいのです。

あけて月曜日の今日、やはり右目は具合が悪そうで、しきりと手でこすっています。目やにもでています。
病院に行こうかな、と思いましたが、行きつけの獣医さんは前にも書きましたが、いまわけあっていつ開いているかわからない状態で、新しい獣医さんもまだ未開発状態、これを期に、電話帳でいよいよ探すかとも思いましたが…

月曜日の獣医さんは、混むからいきたくない。
病気の犬猫と待合室で会うのはなるべく避けたいのです。
ただでさえ、目の具合が悪くて普通じゃない状態の猫を、病原菌にはふれさせたくないのです。<月曜の獣医さんにはなるべくならいかない、というのは猫飼いの一種の常識みたいなものなので…

そこで思い出したのが、猫関係のお友だちから以前きいた、とある人間用の目薬が実は猫にも使える、という情報です。
猫には、人間用の目薬は「絶対に」さしてはいけないのですが、その目薬なら、だいじょうぶだとのこと。
わたしはその銘柄を覚えていたので、まあちょっと試してみようかと思って、近所の薬局に目薬を買いに行きました。

うちの近所は、病院と薬局と花屋さんが、いいのかな、と思うほどたくさんあるのですが、その中の比較的小さな新しい薬局に、なにげなく入りました。
で、話しにきいた銘柄を求めると、「ああそれはありません」といわれました。
すこし猫背気味の、背の高いめがねをかけたおじさんの薬剤師さんです。内気なのか、いつも人となるべく目を合わせないようにして、話す人でした。

わたしは内心、ああ、ここはやっぱり小さくて新しいから、品数が少ないんだなあ、と思ったのですが、そのとき何気なく、
「その目薬は猫にも使えるという話だったので、ほしかったんですよ」
と、いったのです。
すると。
薬剤師のおじさんの目が、きらり、と光りました。
「それでしたら、ソフトコンタクトレンズ用の目薬ならだいじょうぶですよ」
こんなのどうです、と、ひとつの目薬を差し出されました。
(ちなみにマイティアCLでした)。

「つまり、こういうことなんです」と、薬剤師さんは説明します。
(以下、わたしの解釈なので、微妙にちがっているかもしれません)。
「なぜ人間用の目薬を猫に使ってはいけないかというと、猫にとってはよけいな成分がいろいろはいっているからなんです。とくに抗生物質が悪さをします。猫の目は人間の目とちがって代謝が悪い…つまり、人ほど涙を流せないので、濃い抗生物質が毒になってしまうのです。
一方、ソフトコンタクトレンズ用の目薬は、抗生物質がレンズの細かい穴にたまって濃い薬に変質しないように、生理食塩水のような成分しか使ってありませんから、猫の目にもいいんです。まあ、このように原理をわかって使えば、人間の薬も、ものによっては猫にも使えるということですよ」

わたしは薬剤師さんにたずねました。
「あのう、ひょっとして、猫、お好きですか?」
薬剤師さんは、にこっと笑いました。
「わたしは、生まれたときから、猫といっしょに暮らしてるんですよ」
「じゃあ、目薬も」
「はい、さしたことがあります」

わたしはなんだか嬉しくて、他にも薬を買っていこうかなと思いましたが、そういうときにかぎって、買うべき薬はありません。すると、薬剤師さんはいいました。
「薬はね、なるべく飲まないに越したことはないですよ」

さて。
目薬です。
かえってきて一回お昼にさしました。
その段階で、目やにが洗い流せて、ぱちっと右目が開きました。
二回目。夕方にさしました。
三回目。いまさっき、夜遅くにさしました。
いまはもう…ほとんど正常です。

ありがとう、薬剤師さん。
あなたは正しかったです…。

ふと思い出したのは、いまはなきランコのこと。
彼女はペルシャ猫で、目がまんまる、鼻がぺっちゃんこだったので、子猫時代からしょっちゅう、目に傷を作ってました。
目がおかしくなるたびに、獣医さんに通っていたものです。
にゃあにゃあ鳴くのを捕まえて、キャリーバッグにおしこめて。
タクシーに乗せて、車酔いさせて、獣医さんでおびえさせて…。
家に帰ると、精も根も尽き果てたような顔になって、毛がぺそっとなってしまうランコだったのでした。そうして、そのあと数日は、獣医さんの目薬や時として飲み薬なんかも飲まされちゃったりして。そのたびに、タオルぐるぐる巻きで。
いま思うと、ランコも、薬局の目薬でよかったんですね…。
ごめんね、ランちゃん。

#念のために書いておきますが、人間用の薬で、猫にそのまま使えるものは、とても少ないです。基本的に、猫と人間では体のつくりが全然違う上、体重もちがうので、使うべき薬の成分も、分量も、全然違います。
猫の生命に責任を持てない人は、絶対に、人間の薬を猫にあげようなどとはせずに、獣医さんにいくようにしてください。

とくに、人間の胃腸用の薬で市販のものには、猫にとっては即死するような猛毒になる成分を使っているものもありますので、絶対に絶対に、使わないでください。

人間と動物って、ほんとにちがうんですよねえ。
たとえば、よく言われる話ですが、人間にとって有益なとある抗生物質が、山羊さんには猛毒だったりするのです。


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chayka [HOMEPAGE]