日々の泡・あるいは魚の寝言

2001年02月06日(火) 園芸家の天敵

それはね、虫でも病原菌でもない、花泥棒です。
素人園芸家の敵が、また素人園芸家であることの不思議。

うちのマンションの一階の、入り口のあたりに、小さな花壇のようなスペースがありまして、そこに十年くらい前、私はせっせと花壇を作ろうとしていました。
近くにあるお花やさんから苗を買ってきて、土と肥料をいれて、水やりをして。
すると。
植えたそばから、苗を抜いていくやつがいるのです。
翌日見ると、苗を植えたところに、ぽっかり穴があいているの。
いつのまにやら、幽霊のように、誰かが花をさらって行く。

植えたときには地味で、あとで華やかになっていくタイプの花だと、きれいになったな、と思ったとたんにやられます。
それも、根っこから抜いていく。
抜けないときは、腹いせのように、枝を折り、花をむしっていく。

近所の人々のあいだでは、実はうわさになっていました。
「この界隈には、花泥棒がいるよ」
「ほら、あの、新聞紙もって散歩しているお年寄り、あれがあやしい」
そんなふうに。
「ここで花作ったって、とられるばかりだから、やめときなさい」
そんなふうにいわれたことまであります。

で。
少ないお小遣いから花の苗を買うのが、私はだんだんばからしくなってきまして、うちのベランダにはびこっているゼラニウムをうつしたんですよね。
枝をどんどんさしていった。
すると、根付く前の枝をとっていくやつが出てくる。
それにもめげずさしていると。
やがて、ゼラニウムはもういらなくなったのか、花泥棒は来なくなりました。
そういうわけで、今うちのマンションの一階の花壇には、ゼラニウムがはびこっています(笑)。

しかしまあ。ゼラニウムだけというのもさみしいので、たまには、母の使った花材の残りなどをさしたりもします。そんなにして雪柳が根付いていたのですが。
今日。やられました。
つぼみがいっぱいついていた雪柳の枝を何本か、折りとられてしまった(涙)。

この悔しさは、園芸やってる人間じゃないとわからないでしょうね。
はっきり言って、私には、「美女と野獣」の野獣が怒り狂った気持ちが、よーく、わかります。
野獣にとって、バラの花一輪は、大切な宝物だったんです。
大事に守り育てて、花開く日を待って、やっとさいたバラの花。
それをおりとられた悲しさよ。
野獣は、バラの命のためにも、怒らなければならなかったのです。

ま、それはおいといて。
例の世田谷の猫殺しの屋敷の話なんですけど。
「庭に猫が来るから矢で撃った。猫が悪い」って、親子でいってるみたいだけど。
そこまでいうのなら、もっと庭をきれいに造れば?
はっきりいって、テレビカメラに写る庭は、わたしには、少しも手入れされてない庭にしか見えませんでした。
あれだけの地面があれば、私ならいっぱい木だって花だって植えるのに。

それにしても。
「花泥棒よけ」の薬品って、どこかに売ってないもんでしょうか?



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chayka [HOMEPAGE]