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指輪物語関連ファイル

YUKI


2004年07月03日(土)
 <映画>『スパイダーマン2』


指輪物語とは関係ありませんが、おもしろかったので、ここにも書いておきます。

先行上映で『スパイダーマン2』を見てきました。以下感想。

もしかしたら、これが今年のベストムービーかもしれない。予告を見た時から、画面がすごいと思っていた。でも、予告にいいところを全部使って、本編がたいしたことないこともあるから、どうかなと思いながら見た。
本編は、もっともっと、すごかった。
緊張感は途切れることがなく、緩急自在で、動きの部分と静かな部分、それぞれが最高の出来だった。登場人物は皆、心をこめて撮ってあり、ひとつひとつのシーンは丁寧に作りこんであって、音楽は映像にぴったりあっていた。映画を作る人の心意気を感じる作品だった。
スパイダーマンで、まさか泣かされるとは思わなかった。
どうか、大きな画面で、見てください。おすすめです。
↓(ネタばれ)












最初のシーンからわくわくどきどきしてしまって、これが最後まで続くわけがない。そんなことはありえない、と思っていたら、最後までぶっちぎりで続いたのだった。すごかった。原作のコミックのスパーダーマンらしいキメのポーズを、ニューヨークの街の中に刻み込んでいくような画面。人間の感覚からかけ離れていないスピード感とスリル。一緒にビルの間を飛んでいるような幸せな錯覚。静かな場面の背後にも次の場面へつながる要素が配置してあって、一瞬の静止のあとに、大きな危険が襲ってくる。悪役も人間のかたちを残しているのに、その極悪ぶりは、どんな破壊兵器よりもすさまじい。現実感があるので、押しつぶされる人間の痛みや恐怖を観客にめいっぱい味あわせる。そういう意味で、お子様向けでは全然なかった。見ていて怖くなる場面もあった。

きっと、そのうちいろんな意味づけがされてしまうだろうけれど、見ている最中はそんなことは考えていられない。恐怖と爽快感。「正義」というものがどういうものか。それは一方的な勧善懲悪ではなくて、それぞれの心の中にあるのだと、映画は言っているようだった。叔母さんの言葉。電車の乗客達の言葉。MJの言葉。普通の人たちの言葉が、胸にしみる。傷ついたスパイダーマンを守る乗客たちを、悪役は容赦なくなぎ倒す。それでもこの映画に出てくる人たちは、自分のできるやり方で抵抗する。ピーターがマスクの下の顔をさらした時に、この映画は本当のヒーローの映画になったのかもしれない。誰もがヒーローなのだ。心の中に正しいことをする勇気があれば。それはドクター・オクタヴィアスも例外ではない。そして一方に、私怨に負けていく人間がいる。気持ちのやさしい普通の人間が、判断を誤るときの弱さまでも描いている。ハリーを救うところまで、続編でやってくれるだろうか?

現実の世界が、無理が通れば道理がひっこむみたいな状況で、こういう映画を作る人たちがいるということが、とてもうれしかった。