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指輪物語関連ファイル

YUKI


2002年04月14日(日)
 <本>『指輪物語 王の帰還』 by トールキン


実家に帰って、何も手伝わずに座敷の布団に寝っころがって
最後の二冊を読了しました。
冥王サウロンとは何者だったのか?
それは生身の人物なのか?
ということは明らかにはされないまま、クライマックスに至るまでの
戦いの激しさと旅の仲間達にふりかかる危機の大きさが
フロドとサムの背負った重荷の大きさを読者に思い知らせます。
暗くて重い空気の中、時に絶望にとりつかれながら
それでもなすべきことをなす彼らに
物語を越えてこころを寄せる人達がたくさんいる理由が
読んでいてわかりました。
暗闇の中に光るものはいっそう明るく、美しいものはさらに美しく、
平凡な日常はかけがえのない貴重なものとして、心に迫ってくるようでした。
最終巻の半ばで物語りはクライマックスを迎え、そのあとは
戦いの後の、旅の仲間のそれぞれについて、おだやかなエピローグが続きます。
激しい戦いの最中死んでいった人々も、丁重に弔われ、追悼の歌に歌われることによって
彼らの死は無駄ではなく、永遠の命を与えられる・・・ということが
疲れた読者の心にも染み透っていくようでした。
荒らされた故郷もやがて緑に包まれて、子供達の笑い声が響くようになる。
しかし、もうそこには住めない人もいる。
この長い物語も、作品の世界の歴史の中ではほんの一場面で、
物語に先立つ物語があり、物語のあとにも世界は続く。
そういう世界に遊ぶことができるということは
なんて幸せなことでしょう!