unsteady diary
riko



 映画話


「グラディエイター」と「ミュージック・オブ・ハート」を借りた。

「グラディエイター」は、映像が綺麗。
妻子を殺されるんだけど、その残酷さを表すのに、
吊るされた2人の黒焦げの足だけを徐々に映してゆくあたり、丁寧。

ただ、気になったのは設定のこと。
剣奴に身を落とす主人公は、もとローマの英雄だったわけだけど、
“落ちぶれてもナントカ…”という創り手の美意識が見えて、
そこはあまり好きになれなかった。

もしも、この映画のように皇帝自らが剣奴とあいまみえるとしたら、
相手はただの奴隷ではありえない話でしょ?
相手がもとローマの英雄だったからこそ、
あの話は成り立つような気がするの。

つまりは、期待していたような剣奴たちの話じゃなかった失望。
例えば、征服されたそれぞれの民族の戦士たちが、
剣奴にされるべくローマに連れてこられて、
どんな思いでプライドをぼろぼろにしながら日々闘っていたか、
そんな背景に興味を抱いている私は、
純度100%ローマ仕上げのストーリーに、少々興ざめしてしまったんだと思う。
ローマを扱ったものは好きだし、
正義感のあるヒーローも嫌いではないし、
それなりに納得のいくラストだったんだけどね。


「ミュージック〜」のほうは、
メリル・ストリープが好きで、借りたもの。

「マイ・ルーム」の疲れた不良ママぶりも、
「永遠に美しく」のオバカな美容マニアぶりも。
いわゆる“美しくなくなった人間の美しさ”みたいなものが、
年をとった彼女の、不思議な魅力なんじゃないかと思う。
おばさんになっても、太めになっても、少々たるんだお肉も、
全部、魅力に変えてしまう人。(笑)

この映画は、あるヴァイオリン弾きが、旦那との別居を機に、生計を立てるために、スラムにある公立学校でヴァイオリンを教え始め、“できそこない”扱いをされがちな生徒たちに、自分たちでもやれば出来るという喜びを与えてゆくというストーリー。
彼女がこの映画のためにヴァイオリンの特訓をしたという裏話は聞いてたけど、
ほんとうに短期間でよくやったなあと思う。
私もちょっとだけ触ったことがあるけど、マトモな音が出せるには至らなかったもの。(笑)

この映画、地に足がついているのがイイ。
例えば、彼女は夫に別の女に走られても取りすがる弱い妻だったのだけど、
その後、夫は浮気相手と別れたけど、彼女のもとには戻ってはこなかったのね。
子供たちの前で、そのことを認めなくちゃならなくなった彼女の涙は、
プライドが高いぶん、とても惨めで、それでいて清々しかった。
女は弱くて強いんだなって。

ひとりの女性の、依存から自立へ向かう生き方として
共感できた気がする。


2001年07月11日(水)
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