久々にお色気っぽい文を更新。
ここのところ、ピュア成分多目の文ばかり書いていたので(ハイ嘘ー) 仕上げるまで、たいそうな時間がかかりました。
だって、これってば。 Yコさんへの風邪治癒祈願文だったのです、よ?(言わなきゃいいのに・・・)
しかも昨年12月初旬のね・・・orz ギャボー イマハ イッタイ ナンガツデスカ
文の始まりをみれば、そんなことは一目瞭然、解りますね・・・。 ハハハハ。 直そうかと思いましたが、潔くそのままです。
あまりにも遅くなったせいで、Yコさんの風邪は治ってしm(痛いのでみなまで言うな) しかしその後、Yコさんがまた風邪を召して、萌え薬としてはイケル状況になったんですけれども・・・。 結果、それにも間に合わず(嗚呼・・・) 最終的に、現在を迎えるという、痛い結果になったわけですネ。
ま、そんなこんなで。 忘れ去られた今日この頃の、本日アップと相成りました。 しかし、焦らしプレイすぎた反省として、少しイロをつけて、文を増量しました。 (携帯で間違って送った時のと比べてもらえると、解るかと思われます、Yコさん。そして、エロス分も増量したつもりなんですけど、あんまり代わり映えしまs・・・遮断)
でも、ここで負けじと。 プラスαする悪足掻き全開です。
過日。 コレモ ハルカ カナタ イスカンダル デスガ 絵茶にて、Tまさんと「お互い精進しよう!まずはソフトキティク攻略から!」と語り合ったあの日のことを思い出し。 そんな雰囲気も混ぜ込んでみました。
BUT。 色んな策を講じてみても、不発っッポイ☆ ←痛々しい開き直り ウワァ!痛い!!(笑) Tまさん、ただのセクハラになってしまいましたが。 これってキティクに含まれますか? 却下ですか。 そうですか。
ハ イ 、 攻 略 不 成 功 ・ ・ ・ orz ドンマイケル、ジブン!
えー。 Yコさんに、Tまさん。 ごめんなさい。 もっと精進するので、ご容赦下されたく・・・((orz
一輪の可憐な山茶花を差し出しつつ「今はこれが精一杯」と囁きます。
アッハッハッハー。 でも、楽しかったのもまた事実(笑)
「うー・・・ヤバイ・・・」 トグサは首を竦めると、着古したダウンジャケットの前を掻き合わせた。 擦り切れた袖口は、革手袋に隠されて見えない。 相棒のバトーはもしもの時の事を考えて、手袋するのだけはヤメロと口を酸っぱくしてお小言を言ったが、トグサは聞き入れなかった。 寒さに手がかじかむ事のほうが自分にとっては危険だと思ったからだ。 それに、使い慣れた革手袋をして、何があっても速やかにマテバを抜いて撃つことが可能なようにしてあるのだから、文句はあるまいと思っての事でもあった。 「あー…まじでヤバイ…」 トグサはもう一度、先程と同じ言葉を口にした。
季節は十二月を迎え、クリスマスや年末が迫って来た頃合。 新浜にも寒さが舞い降り、日々、冬色を濃くしていた。 それに呼応するように、巷には急性胃腸炎などを誘発する悪性の風邪もハヤリだして、連日ニュースになっていた。 義体化が当たり前の時代でも、風邪というものは流行する。 病はいつの世にも蔓延する道理だ。 何故なら、義体化したサイボーグだけがこの世にいる訳ではないし。 生身のままの人も多い。 それに。 全身義体化ならいざ知らず、内臓などを残したり、一部分の義体化しかしていない生身の部分を多く持つ者達もいる訳で。 風邪から、病からは、逃れようもないと言う事であろう。
「何がヤバイって?トグサ」 耳元でいきなり響いた相棒の低音に、トグサは飛び上がった。 「ッ・・・バトー・・・」 「ぼーっとしてっと、奴の動きを見落とすぞ」 人目に付かないよう、路地裏に身を潜めていたトグサは、意地の悪い登場の仕方をしたバトーを睨み上げた。 表情を表さないはずの義眼が、からかう様な笑みを浮かべている。 「そんなドジ、踏むかよ」 トグサはむっとしながらも、すぐに視線と意識を元の位置に戻した。
視線の先にいるのは一人の男。 現在、公安9課が追っている事件に係わっている、と推測される男だ。 その二十四時間行確をトグサとバトーは命じられており、三日前からその任務に就いている。
今日は早朝から動き出した男のせいで、二人は朝飯を食いはぐれた。 義体化率の低い、ほぼ生身のトグサを気遣ったのか。 バトーがふらりと姿を消したのが数分前で。 そして今、悪戯でもするかの様に、トグサの背後に戻ってきていた。 「ほれ、コーヒー。食いモンはもう暫く待て」 近くの自販機ででも買ってきたのだろう、その手には缶コーヒーが二本、握られていた。 「サンキュー、バトー。これで充分だ」 目の前で振られた一本をトグサは皮手袋でガードされた手を伸ばして受け取った。 バトーはそれを見ながら、自分の分の缶コーヒーに早速、口をつける。 それから、建物の壁に肩を預けて立つと、トグサの視線の先に目を向けた。 「で?何がヤバイって?」 先程の言葉に戻って問うバトーに男の見張りを任せ、トグサは右の手袋を外し、ポケットに突っ込むとプルタブに指をかけた。 プシッという小気味のいい音、次いでコーヒーの香ばしい匂いが鼻腔を擽る。 「・・・あ?ああ、風邪ひいたかもっと思ってさ」 なんだか寒気がすんだよ、そう言いながら、トグサは美味そうにコーヒーを飲んだ。 ”この一杯がないと生きてられん”と日頃から口にしているコーヒー狂の生身を見下ろして、バトーが呆れたように眉間を寄せた。 「っとに、生身はヤワだなあ」 「ヤワなんじゃねえ、繊細なんだよ、生身は!」 コーヒーをわざわざ買ってきてくれた相棒の優しさをあっさり忘れて、トグサは声を荒げた。 缶を持つ手とは逆の、手袋を外した方の手で、憎たらしいほど厚い胸板を叩く。 「図太いあんたと違ってな」 それにニヤリと笑った義眼の大男は、 「図太い?ナニなら図太いの持ってるけどな〜」 と、その冷え始めたトグサの手を掴んだ。 「・・・・・・はぁ・・・・・・」 大きなその手を振り払う事も忘れて、トグサはただただ、呆れかえった。 目の前の男は、いつだって、トグサの言葉尻を捉えては、こういう言葉をツルツルと吐くのだ。 よくまぁ、瞬時に思いつくものである。 「───なんだよ、その溜息」 バトーが口を尖らせた。 「つまんねえ反応」 お望みで、お好みの反応ではなかったらしい。 「もっと気のキイた反応しろよ。照れるとか、目を伏せるとかよぉ」 しかし、ここでまともに反応すれば後がヤバイことを身を持って知っているトグサとしては、バトーを満足させる為の反応なんてしたくもなかった。 望み通りの反応をしてしまっていた昔を思い出し、トグサはちょっと遠くを見る目をして、傍らの男を見た。 大先輩のセクハラにいちいち、赤面したり動揺したり、慌てふためいていた頃が懐かしい。 慣れ、というのも嫌な気持ちだが、慣れておけばショックも少なくてすむ。 誰が、相手の思うツボに嵌るものか。 トグサはゆっくりとバトーの手を外して、平然とした顔でコーヒーをもう一口、口に含んだ。 「まったく、可愛くなくなっちまって」 そんな態度に、バトーは口許を歪める。 面白くないのだろう。 けれど、バトーを面白くさせる義理はない。 目の前の大男をひたすら無視し、トグサはコーヒーを飲み続けた。
程なくして、小さな缶コーヒーの中身は空になり、トグサは空き缶の始末に困った。 ダストボックスが見つかるまで、とジャケットのポケットに無理やりしまう。 それから、相棒はどうしたろうと様子を伺ってみて、雰囲気がおかしい事に気付いた。 監視対象の男を見ているハズなのだろうが、何やら、不穏な気配がする。 こういう時、視線の解らない義眼は面倒だ。 トグサは、バトーを覗き込むように見上げた。 「・・・・バトー?あんた、ちゃんと見張ってるんだろ──」 怪訝な表情とリンクした言葉は、途中で遮られることになった。
カンッ、という乾いた、やけに甲高い音がした瞬間。
トグサは壁に背を押し付けられていた。 カラカラと転がるその音が、バトーが落とした空き缶の音であると判っても、何の意味もない。 迫る様に、目の前に立ち塞がる巨体に、息を飲んだ。 先程と違い、無表情に自分を見下ろしてくる義眼の、冷たい光に。 「ちょっ…!なんだよ」 トグサは、勝手に震えてしまう声が嫌で、歯噛みしたくなった。 「やめろ、バト…」 「──黙れ」 言葉はあっさりと断ち切られて、トグサの背筋にぞっとした感覚が走る。 大きな手が、顎を捕らえ、目を逸らす事さえ出来ない。 そして、次の瞬間には、無理やりキスされていた。 「ふっ…ッ…ん」 バトーの厚い唇が、トグサの冷えた唇を貪るように塞ぐ。 抵抗の為に振り上げた手は、簡単に封じられ壁に縫い付けられてしまった。 もう一方の手も、虚しく宙をかいた。 顎を捕らえていたはずのバトーの手が、いつの間にか、トグサの首に掛かり、やんわりと押さえ込んで。 その冷えた感触が、じわじわと皮膚を突き通り、身体の奥へと侵入してくる。 乱暴な獣じみたその口付けに、喘ぎながらも、トグサは足掻く事だけは止めなかった。 全身義体の大男に敵わないとしても。 力が抜けそうになるのを堪え、足場を固めると、トグサはバトーの足の甲を踏みつけようとした。 けれど、バトーはそれを容易く察知して、トグサの足の間に自分の足を捻じ込み、身体を密着させた。
すべての抵抗を封じ込まれ、ヤバイ、ヤバイとトグサは思ったが、身体はその意思に反して、力が抜けていく。 路地裏の薄暗がり、その暗がりを背負う様に立ち、自分を追い立てる男に。 トグサは翻弄された。 「っは……ァ」 耳に響いた甘く鼻にかかる声を自分が出しているという事に、トグサは叫び出したい程に羞恥を感じた。
こんなキスを望んでいるわけではないのに。 バトーから与えられる口付けは、トグサを虜にし得る熱があった。 そうして、その熱が、トグサのゴーストを犯していく。
角度を変え、キスは深さを増していき、滑らかな造り物の舌が、トグサの歯列を割った。 逃げる舌を絡めとり、バトーはより貪欲にトグサを求める。 それに抗う術をトグサは持たない。 「…ン…ぅ、は」 耳元で激しく打ち鳴らされる鼓動と、自分の乱れた呼吸。 それが電脳内を埋め尽くそうとした時。 バトーは最後に顎へと伝った唾液を舌で舐めとり、濡れた下唇をなぞるように舌を這わせ、離れた。 首筋を圧迫していた、冷ややかな掌の感触も消えた。 「……は、ぁ…」 トグサの足はみっともなくガクガクと震え、へたりこみそうになるがそれを壁に背を押しつけるようにして、何とか堪えた。 男の意地でもあり、バトーに対する最後の抵抗でもあった。 「どうよ、トグサ。あったかくなったろ?ん?」 冷酷な仮面を脱ぎ、いつもの顔に戻ってニヤーと満足げに笑う男に。 トグサは、心底、心底、怒りを感じた。 それから、この男に翻弄されてしまった自分自身に、言い様のない怒りを感じる。 また、まんまと、ハマってしまった。 まんまと。 どうして、最後まで抵抗しきれないのか。 自分の不甲斐なさに目を背ける為に、トグサは怒鳴り、 「こンのっ…エロサイボーグッ!!!死ね!!!」 いつの間にか寒さを忘れていた、むき出しのままの右手で、拳を作ってバトーの顔面めがけて打ち込んだ。 ごすっという鈍い音の後、気の抜けた、やに下がった声がする。 「おいてッ。お前ねえ、殴る時、グーは止めろって言ってるだろーが?」 「うるせえ!!!」 ぶるぶると震える拳では、たいしたダメージを与えられず、いっそう悔しい。 そんなトグサを煽るように、バトーの笑みは深くなる一方だ。 「まぁまぁ。落ち着け。だいたいなぁ、これはお前の為なんだぞ?」 「・・・・・・・・・・・」 「寒くなったんなら、あったかくなれることをすりゃあいいってコトをだ。実践で示してやったんしょうが♪」 「ッ……」 ムカつく言い分に、バトーの顔など見ていたくもなかったトグサは視線を外し、次の瞬間、固まった。 「あ」 視線の先に在るべき男の姿が無い。 その事に気付いた故に、だ。 「あ?」 トグサの一言に、バトーもやっと事態を飲み込んだようである。 よからぬことをしている間に、行動確認対象の男の姿が、消えてしまっていた。 それをなんとするのか。
二人は、路地裏で、途方にくれた。
「あんたなぁっ!!始末書になんて言い訳書く気だあっ!?」 が、瞬時に復活して、そう噛み付くトグサに、 「・・・トグサに欲情しちゃいました、か?」 バトーはヘラヘラと笑いながら答えた。 引き攣った口許をどうすることも出来ない。 もう一度、トグサは拳を固め、今度は鳩尾に狙いを定めると突き出した。 「俺に訊くなッ、このボケ!!!」 が、その拳はバトーの大きな手に阻まれてしまった。 「ち、くしょうッ」 吐き捨てる様に言い、掴まれた手を力一杯、引き剥がした。 怒髪天を突く勢いのトグサを見下ろすバトーの口が、
「 な ー ん つ っ て 」
おどけた様に言葉を降らせたのは、そんな時だった。 「俺がそんなドジ踏むかよ。お前じゃあるまいし〜」 じゃあ、この落とし前をどうつける気だ!と叫ぼうと、トグサが怒りに爛々と光る目でバトーを睨み上げるのと、同時に。 視界にインターフェイスが開き、赤い思考戦車が小躍りする姿が映し出された。 『バトーくーん!対象者捕捉、街道沿いに徒歩で移動中だよお。次の指示はあ?』 フチコマの視界の映像が転送されてきて、行確すべき男の現在の姿を目の当たりにする。 トグサは怒りを堪える様に俯き、事情を説明しろと怒鳴りたかったが、最早。 「・・・・あんた・・・・」 言葉にならなかった。 この男は、どうしてこうも、フザケタ振る舞いをするのか。 しかも、任務中に、だ。 「こんなこともあろうかと、フチコマ連れてきてたんだなぁ」 バトーは満面の笑みでトグサを見返した。
こんなことをしようかと、コーヒーを買いに行った時に、本部からフチコマを呼び出していたのか。 更に、だ。 必要のないフチコマを勝手に呼び出した始末は、一体、どうするつもりなのか。 この男がそこまで考えているか、いないのか、考えようとして止めた。 代わりに、最後の気力を振り絞り、 「・・・・・・ほんと、いっぺん死んで来い・・・・・・」 それだけを言い、トグサはへたり込みそうになる己の身体を、今度は壁に手をつくことで耐えしのんだ。
朝から、何の冗談なんだろう。 折角の美味いコーヒーの味も消えてしまった。 先程の熱は乾いて、かさかさだ。 その唇を舐めて湿らせる。 トグサは苛立ちを殺して、皮手袋をはめ直し、路地裏から抜け出した。
冗談のように与えられた、本当の熱を振り払い、任務へと意識を戻す。 そうしろと、ゴーストが囁いているのだ。 本当を受け入れたら、トグサには抵抗する為の駒がなくなってしまうから、かもしれない。 肝心な事を曖昧にして。 今にしがみつきたい自分を感じているだけに。
そんな事を考えながら歩くトグサを知らぬ気に、バトーの気配は、いつもの様に飄々とついて来る。 肩越しに義眼を睨み、釘を刺す。 「これ以上、フザケやがったら、マテバが火を吹くからな」 怒気を含んだトグサの声にニヤリと笑うバトーが、頭の後ろで手を組みながら返してきた。 「へいへい〜」 その憎々しい態度に、 「ほんっとに、ロクでもない先輩だよ、あんたは!」 「そんな大先輩が好きなくせに?」 「───大、嫌いの間違いだぜ、先輩」
ぽんぽんと言い合いながら、フチコマが表示する座標に向かって、トグサもバトーも足を速めた。
路地裏に投げ捨てられた空き缶が、二人を見送り、ぽつりと佇んでいる。
END
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