気がつけば。 今日はホワイトデーなんですね。 あやうく、それすら気付かないところだった、武藤です。 こんばんわ。
そんなこんなで。 仕事や体調不良の連続で、更新もしないで一ヶ月が過ぎたわけか、と。 思い至りましたわけで・・・orz(嗚呼)
こりゃあ、久々に更新せねばなるまいよ。 と、休日だったのをイイコトに、あるブツを必死に手直ししました。
え?なにをって??
ええ、あの日、お蔵入りが決定したブツを。 恥ずかしげもなく、アップしようかと思いましてね・・・フフフ。
私、これから。 ホワイトデーに、バレンタインの話を更新しようとする、勇者になります。 温かい目で見守っていただければ、サイワイです。
えー・・・二本、更新したかったので。 13日の分もつかって、ブツをあげます。
13日のが、原作ベース。 14日のが、SSSベース。
です。 まぁ、季節ハズレすぎて、どうなのよィ?(滝汗) って感じなんですが。 少しでも、楽しんでいただければいいなと、思います。
潜伏期間中、あらゆる意味で励まして下さった、ネットの海の向こうにいる皆様へ。 感謝を込めて。
狭い車内。 眼前に展開させたのは円形の窓。 そして。 水槽の中でキスを交わす魚の映像。
トグサはぼんやりとそれに視線を預けていた。 行確をサイトーたちに引継ぎ、本部に帰る途中。 うっかりと渋滞に巻き込まれ、暇つぶしに見始めたニュースだった。 内容は、バレンタインだった昨日を引き摺ったネタだ。
水族館にいるキッシンググラミーとかいう熱帯魚の仕草(とでもいおうか)が、キスを交わしているように見えることから、恋人たちに人気で・・・という話題らしい。 愛妻や愛娘が用意してくれたであろうチョコと未だ対面できてないトグサにしてみれば。 どうでもいい話である。 けれど、他に見たいものがある訳でもなく。 結局はそれを何の気ナシに眺める事になった。 すると、マイクを前に水族館の職員が緊張した顔で、この魚の習性について話し出した。
「おい、トグサ。熱心になに見てんだ?」 運転席からの低音と目の前でひらひらと振られる大きな手に、熱心になんて見てないと思いつつ、 「ニュース」 簡潔に答える。 義眼の大男が顔を顰めたのが、気配でわかった。 「素っ気ねえ答えすんじゃねえよ。つまんねえ。どれどれ・・・」 そう言いながら、バトーが何をする気なのか気付いたトグサは非難の声をあげた。 「こら、勝手に人の目に乗るんじゃねえ!」 「・・・なんだ、この魚?キスしてやがる」 が、そんな非難なぞお構いナシのバトーは、トグサの目を通してその映像を見やった。 それにむっつりと口を引き結んだが、この男のすることに一々反応してもしょうがないので、相手をしてやることにする。 この男はかまってもらえなくなると、直ぐチョッカイをかけてくるという、見てくれからは想像も出来ないほどの”寂しがり屋”で”甘えたがり”な男なのだ。 ここは大人になって、相手をしてやるのも、相棒の仕事だろう。 トグサは内心でほくそ笑みながら、口を開いた。 「キッシング・グラミー、とかいう魚だってよ。こいつら、キスしてるように見えるだろ?だから、昨日のバレンタインで、恋人たちが群がりましたって話」 「相変わらず、この国は平和でいいねえ」 そこでバトーのにやにや笑いが、何故か、眼前に迫ってきた。 大きな顔を押しのけながら、トグサは溜息を吐いた。
ナニをしようとしてるのかマル判りだ。
渋滞で車が動かないのをイイコトに、キスでもするつもりなんだろう。 キスをする魚にかけて。 そうはいくもんか。 トグサは話と、顔を逸らしながら、 「平和、結構じゃないの。こうして荒事もなく怪しい奴らの跡を付け回して、渋滞に引っかかる余裕があるなんて、滅多にないし」 ニュースに意識を戻した。 すると、キッシンググラミーのキスの正体について、コメンテーターとアナウンサーが笑いながら話し合っていた。 「多少のドンパチがあった方が、刺激があっていいだろが」 懲りずに迫ってくる荒事大好きのマッチョから逃げつつ、トグサは小さく首を振って。
もう一度、溜息を吐いた。
「だからよ、トグサ。チョコを貰うアテさえない先輩に、キスさせろって」 「その、だから、は何に掛かってんだよ。意味わかんねえ」
「チョコの代わりに一回の甘いチュー。イイじゃん」 「よくねえよ」
「・・・本当にお前は、日に日に可愛くなくなるね」 「元から可愛くなんかねえっての」
「あーあ。ちょっとケツでも触ろうモンなら、慌てふためいて真っ赤になってたあの頃の可愛げがあった後輩はどこへ行ったんだー?」 「ウルセエ!だいたい、言っとくけどな。さっきの魚だって、別にキスする可愛い魚なんかじゃねえんだよ、大先輩サマよ」
「?」 「あれは、魚の威嚇行動なんだッ!」
「威嚇?」 「そう 威 嚇 。魚が必死こいて角の代わりに口突きあわせて縄張り争いしてるのみて、キスだなんだと人間サマは騒いでるわけだ」
「・・・ふーん」 「可愛いもクソもねえ、甘くもねえもんなの。だから、俺だってあんたに易々とキスなんかされねえのさ」
「・・・・・・・・・ふーん」 「あの魚たちみたいに、甘くないのが俺達の関係ってこと。解ったかよ、大先輩?」
END
|