| 2006年02月28日(火) |
BT30題「27) 怒っちゃいないさ」 |
表にあげた話の、もう一つのバージョン。
↓にアップされてる話(未完成品)を書きながら、しっくりこない、と悶々とし続けてたところ。 Yさんの「トグにさせたい萌え動作(?言動?)」の提言に、パッと閃く。 まさに、雷に打たれたかのごとく、ピッシャァーン!!!と(笑)
こうしたら、いいかもしれないよね!
で、速攻、萌えをベースにして書き上げて。 表の文は、やっとこ完成したのでした(笑)
そしたら、途中のまま残ってしまった文が、発生。 このまま放置するのも、なんだか勿体なくて。 ←貧乏性?
コレも書き上げてみたり。
うんーーー(悩) まぁ、これはこれで、ありかなぁ?とも思いますが(笑) なんとなく。 表にあげたほうが、原作バトグサにしっくりクル気がするワケでした☆
一瞬の油断。 気付いた時には、撃たれていた。 怯えたような目をした武器の運び屋に、話し合いの機会を与えたのが、まずかったようだ。 ただ、ラッキーなことに、この男の射撃能力は低かったので(銃を撃った経験が少なかったのかもしれない)、致命傷になることはなかった。 小口径の銃から放たれた弾丸は左腕を掠り、背後の壁に。 腕に焼けるような痛みが走った瞬間。 それに顔を顰めながら、トグサはやっぱり自分は甘いと舌打ちした。 そして、踵を返し慌てて逃げ出す男の背に、銃口を向けた。 狙いは足だ。 死人は何も語ってはくれない。語らせるには、動きを封じるだけでいい。 それは、自分を拾い上げてくれた女の教えだ。 が、突然、降ってきたものに標的を遮られる。 目の前には、ビルの屋上を伝いながらフチコマで周囲を警戒していた相棒の姿があった。
「撃たれたとこ、見せろ」
バトーは、犯人にも目もくれず、撃たれた左腕に手を伸ばしてきた。 俺の怪我を気にする場面じゃないだろう。 その手を振り払い、湧き上がってくる感情のまま、トグサは怒鳴った。
「俺のことはいいから、行けよ!犯人確保が先だろ?!」 「フチコマに追わせた。逃がしやしねえよ」
微かに眉間を寄せたバトーの表情と、その口が吐いた言葉に、眩暈がするような怒りを感じた。
そうじゃない。
自分を気遣ってくれるのは、嬉しい。 けれど、ここで、それを見せないでくれ。 それでは、あまりにも、自分が惨めだ。
トグサはもう一度、怒鳴った。
「いいから、行け!!」 「───────」
それでも、バトーは動かなかった。 ただ、トグサを阻むように立っている。
「あんたが行かないなら、俺が行く・・・」
バトーを押しのけて、犯人の後を追おうとしたその瞬間。 電脳に、明るい声が響き渡った。 それはフチコマからの電通で、トグサは足を止めた。
『バトォさーーん、トグサくぅーん、この人どーすればいいー??』
どうやら、犯人を難なく確保したようだった。 それに、バトーが応える。
「フチコマ、お前はそのまま本部に戻って、そいつを少佐に渡して来い」 『いいのー?』 「いいさ。ワイヤーでぐるぐるに巻いて連れてけ。そんで、少し怖いメに遭わせてやれや。そしたら、素直な気持ちで色々喋るだろうからよ」 『怖いメね?ラジャー♪』 「俺らは後から行く。だから、お前はさっさと行けー」 『アイアイサー♪♪』
僕が褒められちゃうかもね〜と言う、やけに楽しげなフチコマの声が電脳に響き、回線は閉じられた。 トグサは、その場に立ち止まったまま、動く気が起きなかった。 無言。 胸に燻る怒りが、表情を歪ませる。 バトーもその場に無言のまま立っていたが、大きな溜息を一つ、わざとらしく吐くと口を開いた。
「おい」 「────────」 「何か言えよ」
でも、答える気にならない。 黙っていると、バトーがまた、声をかけてくる。
「無視するな、トグサ」 「──────────」
耳に馴染んだ低音が、不快に聴こえるのは、心がささくれているからだ。 その原因は、自分に起因するのが、尚更に苛立ちを生む。
「怒ってるのか?」
そう聞かれて。
「怒っちゃいないさ」
感情を抑え、答えた。 それは嘘だ。 みえみえで、バレバレの嘘。
怒っているさ。
いつまでたっても、生身の俺に甘いあんたに。 それから、甘さが抜けず己の身も守れない、自分自身に。 むっつりと押し黙り、その場から動かないそんなトグサに、バトーは呆れたように口をへの字にした。
「まったく、お前は融通がきかねえ」
今度は黙らずに話し出した。少し、笑っているような声で、言葉を続ける。 それが、また、癪に障った。
「何でも自分でやろうとしなくても、いいだろが」 「ウルサイ」
黙っていられなくなって、吐き捨てるように返す。
「利用出来るものは何でも使え。フチコマは俺達のフォローの為にあるんだぜ?」 「・・・・・・・・・そんなのは解ってる」 「怪我したら、大人しくしてろ。俺に頼れ。フチコマだって、便利に使えよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・」
どれも正論で、反論できない。 それが、更に、腹立たしかった。
「何?お前より先にフチコマに指示したのが気に入らなかった?もしかして、嫉妬しちゃった?」 「する訳ねえだろっ!!!」
突然、ふざけたような口調になったバトーに、トグサは思わず大声を出してしまった。
まるで、図星を指されたみたいな反応じゃないか。
そう思ったが、トグサはむっつりとした態度を崩さず、違うと自分の中で否定する。 そんなことはない。
「誰もお前が使えねぇなんて思ってねえだろーが。大体、お前を使えるようにしたのは、この俺様だぞ?」 「そういうことじゃねえ!」 「じゃあ、なんだ?」
バトーに問われ、言葉に詰まる。
「・・・・・・・・・」
どう言っても、情けない気がして、トグサは言葉に出来ない。
「そんなに、気に障ったのか?お前の怪我のほうを優先させたことが」 「・・・・・・ッ」
今度こそ、図星を指されて、口許が歪む。
「お前のプライドを傷つけたんなら、謝るが…でもな、俺の心配も解ってほしいね」
それに苦笑を浮かべたバトーは、そう言いながら大きな手で頭を掻いた。
「・・・・・・・・」
黙ったまま聴いていると、
「あと少し、ずれてたら、致命傷になってたかもしれねえ」
義眼が静かに、トグサの怒りを抑えた目を射た。
「お前は、何が命取りになるか、判らない。俺は、それが怖いのさ」
バトーは、少しだけ早口に、そう締めくくった。 いつもとは違う、深い声。 トグサはそれに、戸惑ってしまった。 この男は、いつも。
卑怯だ。
ふざけて、からかって、そして。 突然に、真剣に、生真面目に、こういうことを口にするのだ。
「怒ってるか?」
伺うように首を傾けるバトーに、トグサはしかめっ面を変えないよう努力して、
「怒っちゃいないって、さっき言ったろう」
それだけを口にした。 これ以上話せば、ボロが出る。そう思ったのだ。 この男に気遣われるのは、正直、嬉しい。自分が、この男にとって、少しは大切な位置にいると思えるから。 だが、やっぱり。 甘さよりも、優しさよりも。
強さから生まれる信頼が欲しい。
この男に相棒として認められる様に、なりたいのだ。 背中を預けても安心だと、思われる様に。
「そ?ならいい。そんじゃ、本部に帰るとしますか」 「ああ」
でも、そんなことは、この男にだけはバレたくない。 歩き出した男の大きな背中を眺めながら、トグサはしかめっ面をキープし続けるのに四苦八苦していた。
END
|