6匹目の兎<日進月歩でゴー!!>*R-15*

2005年10月15日(土)   BT30題「9) 黄色いスポーツカー」

連続更新・第二夜。

BT30題。
原作ベースでバトグサ+少佐。
お笑いの方向で攻めてみました(笑)

はっはっは、楽しいなぁ〜。
もともと。
二次創作もオリジナルも、こんなカンジの話ばっかり書いていたので。
なんだか落ち着きます。 ←落ち着くってナニさー


原作バトさんが乗ってる車がなんなのか、判らなかったのですが。
まぁ、SAC版バトさんが乗ってる黄色いスポーツカーにでも乗せとけーと(笑)
そんな感じで突っ走ってみました。

振り返ると、なんだか、トグが可哀想な子になってるわけで。
原トグを書くと必ず、こんな感じになります。
なんでだろうなー?
































レトロな黄色いスポーツカー。
その狭い運転席に、でかいガタイを押し込んで、義眼の大男がハンドルを握る様は少し笑える。





この年代物のスポーツカーは、9課の車じゃなく、バトーの愛車だ。
維持するのにも、結構なカネを食う代物だというのに、あの男はこの車がいいらしい。
「なんでこんなの乗ってんの?」
と訊けば。
「こんなのとは、何だ、こんなのとは。お前にはこれの良さが解らんのか?まったく、お子ちゃまだねぇ〜」
と憎たらしい答えが毎回返ってくるくらいの、愛車なのだ。
バトーは大雑把そうな見掛けによらず、緻密な部品の寄せ集めの機械をこよなく愛するサイボーグだったりする。
思考戦車も、スポーツカーも、筋トレグッズも、銃火器類も。
おおよその機械すべて。
皆等しく、愛しいらしい。

そして、その愛の最たるものが、この車というわけだ。(紅い思考戦車もか)



トグサは頬杖をつき、外を眺めた。
自分の愛車の乗り心地にはちと劣るが、この黄色いスポーツカーの乗り心地もなかなかだ。
この主張の激しい黄色のカラーリングさえ何とかなれば、トグサもこの車を気に入っていた。(口ではなんだかんだと文句を言ってはいたけれど)



郊外のモーテルに入った重要参考人の行動確認という、つまらない任務に厭きたトグサは思わず、どうでもいいようなことを考えていた。
集中して見張る、という任務をこなす気が失せていたせいだ。

「人様がお愉しみ中に、こうやって時間を潰すなんざぁ、つまんねえ」

運転席の相棒も、どうやら同じ心境のようで、盛大な溜息と共にそうぼやく。
数分前にも、似たようなことを言って、バトーは口許を歪めていた。
トグサは笑って、それに答える。

「確かに。義眼の大男と車ん中で、モーテルの見張りってのは、つまんないの極みだよな」

にぃーと口の端を引き上げて、バトーを見遣る。
と、ハンドルに両腕をついて顔をこちらに向けていたバトーの視線とぶつかった。
感情を映さないはずの義眼が、何やら不穏な色を浮かべたように見え、嫌な予感が背筋を撫でる。
口は災いの元。
そんな言葉が、トグサの脳裏に浮かんで点滅した。

「カーセックスするには」

バトーはそう言って、ハンドルから身を起こし、クソ意地の悪い笑みを浮かべる。

「この車はちっと、狭いけど」
「・・・・・・・」

素早く身を寄せた男は手馴れた動作で、トグサの座っているシートを倒した。
そして、そのまま、トグサの身体に覆い被さる。
いきなり、仰向けになってしまった自分の体勢に、トグサは息を飲んだ。

「・・・・・!?」
「まぁ、ヤってヤれないことはねぇ」

予想は的中。
自分の上で、いやらしい笑みを浮かべるサイボーグに、臓腑を抉るような罵詈雑言を浴びせたかったが。

「こっ、の、変態サイボーグ・・・・・ッ!!」

こんな言葉しか、出てこなかった。
しかし、この程度の言葉などモノともしないバトーは、トグサの頬をべろりと舐めた。

「ぎゃーーー!?や、やめろーーーーーーーっ!!!」

更に、調子に乗ったバトーに首筋を舐められるに至って、トグサは本気で叫んだ。
防御の要の腕は、自分とバトーの胸の間に拘束され、動かすことも出来ない。
顔を背けて逃げようとするが、もう、こうなるとどうしようもなかった。

「これ以上、やりやがったら、あとでどうなるかっ!」

言葉だけでも、抵抗しておかねば、身の危険は更に深まる。
それを今までの経験で理解してしまっていたトグサは、必死にバトーに言葉をぶつけた。

「判ってんだろーなっ、バトー!?」

すると、そんな二人の間に女の声が響き渡った。
電脳を駆け抜ける、涼やかな声。

『あんた達』

これは、裏口に張り付いているはずの草薙の声だった。
神様、仏様、素子様!
トグサは、その助け舟になるであろう声に本気で喜んだが。

『じゃれついてないで、任務に集中しなさいよ』

当然のことながら、トグサが望んだようなものではなかった。
この状況をなんとも思っていない女隊長の発言に、トグサは絶望を感じながら大声で反論した。

「じゃれついてなんて、ない!これが、じゃれついてるレベルかっ!!」
『あたしから視たら、じゃれついてる以外のナニモノでもないわ。暑苦しいったらない』
「・・・・・・・・」

近くにあるIRか。はたまた監視カメラか。
もしくは、バトーの義眼。
大穴なら、自分の目かもしれない。
裏口からこの状況を視ているのだろう草薙のその答えに、トグサの口は塞がれた。
同意の上での行為だと、言われたも同然。
誰が、同意なんてしたよ!!!
トグサは、脳内でそう叫んだ。

「───体温調節出来るボディだろーが」

そこに、バトーがぼそりと呟いたが、草薙にぴしりと返される。

『なんか言ったかしら?』
「いいぇえ。何も言っておりませんよ、少佐殿」
『だったら、きちんと監視しなさいよ』
「だって、つまんねえんだよ、この任務ー」

トグサの上で呟かれたバトーのぼやきには、草薙の溜息が返ってきた。
そこには、呆れの色が隠されることなく含まれている。

『つまんないじゃないでしょ、バトー。まったく、あんた達ときたら』
「少佐!俺まで同類にするのはヤメテくれ!!!」

あんた達、と一括りにされたトグサの悲痛な叫びが、黄色いスポーツカー内に響く。
バトーは騒ぐトグサの様子を見下ろしながら、さも楽しげにニヤニヤと笑い出した。

「そんで、何でこれが許されてんだ?!助けはなしなのかよーーー!???」
『見張りの方が重要だもの』

草薙の容赦のない言葉が、トグサの電脳に止めを刺す。


「なんて優しさのない職場なんだーーーーーッ!!!!」


その叫びに、答えは返ってこなかった。
当然ながら。






END


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武藤なむ