お久しぶりの”鬼”更新です。 前回から、ちょうど四ヶ月も経ってることに、驚愕ですよ。 はっはっは(汗)
この話の次で、一応、ラストになります。 全10話。 いい感じだなー、この、きっちり感(笑)
2月後半から始めて、やっとここまで辿り着いたーと感慨深いです。
でも、長々と書いてきましたが、ちっともお色気話にならな・・・・・orz (脱力)
まぁ、こんなこともありますよね?(訊くなっての)
ラストはもう打ち終わってるので(連休のおかげ)、直しの作業が終わり次第、アップしようと思っております。 最後まで、お付き合いいただけると、ほんとに有り難いです。
九・契約
「どうやら、お主を呼び起こしたのは、兎草で間違いないようだな」 馬濤の言葉に、大輔は苦笑を浮かべ、孫の一人に視線を送った。 急に、名を出された兎草は、祖父の優しい目を驚きと共に見返す。 「俺が?」 解らない、と首を傾げると、馬濤が笑って答えた。 「そうさ。爺さんの言う通り、俺を起こしたのは兎草、お前だ」 「・・・ほんとに?」 「ああ。お前がせっせと俺の寝てる櫻の大樹に気を与え、そのお零れに与っていた俺が満腹になって起きちまった、という訳だな」 馬濤は、きょとんとしているトグサを見下ろし、笑った。 それに、素子が呆れたような声で言葉を投げる。 「偶然の産物、というわけね?幸か不幸か」 「まぁ、そうなるな。幸か不幸か」 同じ言葉を繰り返し、馬濤はニヤリと笑い返した。 その馬濤の表情に。 「小さい頃に、言っておくんだったわ。何でもかんでも、癒したりするんじゃないって」 素子は苦笑を浮かべ、直ぐ傍で蹲っている防摩の柔らかな毛並みを撫でた。 何でもかんでも、癒したつもりは、兎草にはない。 なにせ、自分の意のままに操れる力じゃないのだから。 「・・・・・・・・」 兎草は、何か言い返そうと思ったが、結局、何も言おうとはしなかった。 それは、姉に逆らうとどうなるか、身にしみて知っている弟の処世術でもあった。 「そうなると。お祖父さま、この男、どうしたらいいのかしら」 そこらに放り投げていいものでもないし。 素子はそう言って、大輔を返り見た。 大輔は、馬濤を見、次いで、兎草に視線を据えた。 「さて、どうしたものか」 ≪ねぇねぇ、家長≫ ≪この人、此処に居てもらおうよ〜≫ ≪僕たち、もっとこの人から、お話聴きたいー≫ 黙して長考する大輔の周りをかしましく紅と蒼の光が飛び回る。 「淵駒、断駒、静かになさい」 素子が、二つの光をたしなめる様を眺めながら、兎草はただ、事の成り行きを見守っていた。
自分の力で、解き放った、鬼喰いと異名を持つ霊体。 畏れと親しみを抱かせる男。
淵駒や断駒のように、無邪気に、ここに馬濤を置いて欲しい。 そう言いたい気持ちと。 そう、言ってはいけない気持ち。 先程のように、対極の意志がまた、兎草の内で生まれている。
どうしたら、いいのか。
戸惑いの中、兎草は黙ってそこに佇んでいた。 すると、馬濤の暢気な声が、 「なぁ。俺が、兎草の守護に憑くってのは、どうだ?」 そう提案してきたのだった。 「────え」 その言葉に、兎草は驚きで目を見開き、傍らを見上げた。 馬濤はといえば、自分の考えが最上だ、とでも言わんばかりの表情で大輔や素子達を見ている。 「ここから解き放つのが心配で、どうしたらいいのかと考えるなら。兎草が俺を傍に置いておけばいいじゃねえか」 突然の提案に、大輔は眉間を寄せ、素子はといえば、呆れたように口を開けていた。 馬濤は、次いで、兎草を見下ろし、 「どうだ、兎草?」 そう言って、お伺いを立ててきた。 兎草は、それに答えることも出来ず、ただ馬濤を見上げるしかない。 その真っ直ぐに自分を見上げる視線を隠された目で受けながら、 「俺が傍に居て、お前を護り、生かしてやる。代わりに、兎草、お前は俺に気を喰わせてくれればいい」 「・・・・・」 「守護に憑く、とは言ったが。庇護者や守護者のような一方的なもんじゃねえ。これは謂わば、対等の関係だ」 対等、その言葉に、兎草の気持ちが揺れた。 馬濤は言葉を続ける。 「俺はお前から気を貰う代わりに、何者からも守護してやる。お前は、俺に気を与え生かす。これって、対等じゃねえか?どうだ?そういう契約をしねえか」 俯き、考える兎草の姿に口の端を引き上げた馬濤は、再び、正面に陣取る肉親である二人の術者を見遣った。 「家長殿、姉上殿、どうだろう、この契約、お許し願えるだろうか?」 その言葉は、兎草の鼓膜を優しく撫でた。
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