| 2005年07月18日(月) |
サイボーグは木曜の夜に笑う |
表にある「人形世界」の続き的な話。 仕上がるまで、ウンヶ月もかかってしまった難産パート2なSS。
絵茶での家族萌えーの絵を題材に書いたものだったりします。 話の前半(お笑い系)部分は、だいぶ前から書き上がっていたんですが。 後半(お色気系)部分が、なかなか・・・なかなか・・・・(悶々)
たいしたお色気じゃないのにね・・・orz
もう少し、もう少しで出来ますと、引っ張り続けておりましたが。 やっと、やっと出来ました!!(お待たせ致しました・・・orz)
「おMさーん!トグリ書けたYOーーーー!!!(叫)」
トグリマスター・おMさんに捧げます。 栄養ドリンクになれば、幸いですが・・・どうだろうか・・・orz
それは本当に突然の展開で。 トグサは、呆然と相棒の巨体を眺めることになった。
ただ。
そう、ただトグサはソファに横になり、床に寝転がって絵を描いているトグリを眺めていただけだったのだ。 それが何故、こんな展開になるのか? トグサには、解らなかった。 「トグリ。しばらく、一人でいられるか?」 バトーはそう言いながら、トグサが逃げられないよう、その肩をソファに押さえつけた。 「なっ!?なに言って」 もがいては見たが、義体の力に敵う訳もない。 バトーに問いかけられたトグリは、ぴょこんと身を起こすと、手にしていたクレヨンを放した。 「どうしてぇ?」 純粋を形にしたようなつぶらな茶の瞳が、バトーを見上げる。 そんな無邪気なトグリに、バトーは平然と不純な義眼を向け、答えた。 「トグサと大人の話があるんだ」 「おとなー?」 「そう。大人の話だ」 「だ、旦那っ?!」 二人の会話に、トグサが慌てて割って入ろうとしたが、軽く無視される。 「どうだ?おとなしく、一人でいられるか?」 「何、言ってんだよ?!旦那、いい加減にしろ!!」 「・・・・・ひとりぃ??」 トグリは、二人の顔を交互に見て、何やら考えている。 その”間”に、嫌な予感が背筋を撫で。 トグサは必死で、トグリに手を伸ばして、言い募った。 「旦那のいう事なんか、聞かなくて良いぞ!トグリ、おいで、一緒に寝よう?!」 が、トグリはじっとトグサを見つめるだけで、答えない。 真っ直ぐにトグサを見、にっこりと微笑むのみである。 その笑みはいつもなら、トグサの心を癒してくれたが、今は何の救いにもならなかった。 「・・・ト、トグリ??」 トグサの願いも虚しく、トグリは衝撃の一言を口にした。 「ばとぅさんととぐぅ、おはなししてゆなら、とぐぃまってる」 「なぁっ・・・!?!」 その発言に、もう、打ちのめされた、とでも言うしかない。 トグリの言葉に、二の句が継げなくなったトグサは、ソファの上で固まった。 バトーは、そんなトグサには構わず、話を続ける。 「じゃあ、俺達の音声はシャットアウト」 「?」 可愛らしく首を傾げるトグリにバトーは、 「まだ、わかんねえか」 そう呟くと、分かりやすい、簡単な言葉を選んだ。 「トグリ、声を”ないない”するんだ。いいか?」 「・・・!うん、わかったぁ!!」 それで、バトーの言っていることが理解できたトグリは、元気よく頷いて、またにっこりと笑った。 「ないない、ね?じゃあ、とぐぃ、そふぁでえほんよんでる」 「良い子だ。終わったら、呼ぶ」 「うん!!」 嬉々として言う事をきくトグリの頭をバトーは、その大きな手で撫でてやった。 トグイはそれに、きゃぁと嬉しそうに笑う。 そんな、バトーとトグリのやりとりを呆然と眺めていた、トグサは。 絵本を取りに駆けて行くトグリの小さな背に、涙目を向けた。 「ト・トグリ・・・」 それから、いまだに自分を押さえつけているバトーを睨み上げ、悲鳴に近い叫びを上げた。 「なんで、こういう時だけ、旦那の言う事きくんだーーーーーー!!!」 「人徳ってやつかねぇ〜」 それに、バトーはにやにや笑って、トグサを見下ろした。 トグサはいっそう声に棘を含ませ、バトーを攻撃する。 「人徳?ふざけんな!!あんたの人徳が有効なら、俺の人徳だって有効のはずだろ!?トグリは俺のこと、大好きなんだからな!!」 自分に押さえつけられても、怯むことをしない茶の眼を真っ直ぐに見、バトーの口許は、 「そう、そうなんだよ。トグサ。そこが重要な点だ」 意地悪気に歪んだ。 バトーはトグサの未だに真っ直ぐな光を宿している目が、感情に揺らぐのを見るのがこの上なく好きなのだ。 その為に、選ぶ台詞は、いつだって電脳の中にある。 「教えてやろうか?トグリはな、我慢を覚えた。大好きなお前が喜ぶなら、自分のことはあとでいいと学習したんだ。付け加えるなら。大好きな俺の言うことを聞くと」 その言葉に含まれる、嫌な気配をトグサは敏感にあ察知した。 「──────」 「ご褒美がもらえることも、覚えたんだなあ〜」 嫌な予感というものは、得てして外れないから、いっそう最悪である。 トグサは、腹の底から、怒鳴った。 「こっ・・・・こんの腐れサイボーグーーーーーー!!!」 しかし、そう言われた当人は、悪びれる様子も無い。 「褒めてもらえて、光栄だね」 などと言い、ニヤニヤ笑っている始末。 「トグリーーー俺は喜んでなんかいなーーーーい!」 「もう、聞こえてねえよ」 「・・・・・絶対、そのプログラム、削除してやる」 トグサは、バトーを睨み上げ、言い放った。 が、 「せっかく学習したのに、それを消す?これはいわば、人間でいう所の記憶の削除になるわけだが?」 と言う、バトーの正論に黙らざるを得なくなってしまった。 怒りに任せた言葉は、意味も考えずに吐き出されることが多い。 本意ではない、言葉。 今のトグサの言葉は、その典型といえた。 機械の記録だから、と、トグリの記憶を消すことは、もうトグサには出来なくなっていたのだから。 「っ・・・」 答えられず、トグサが口ごもると、 「お前にゃ、やれねえよ。そんなことはな」 バトーは笑って、トグサの髪を撫でた。 それから、目の前で苦悶しているトグサを有無も言わさず担ぎ上げる。 いきなり、抱え上げられたトグサは、いいようにあしらわれた、とやっと気付いた。 「だ、旦那!おろせよ・・・!」 「──────」 「はなせっての・・・!!」 頭上から抗議の声が降ってきても、素知らぬ顔で。 「毎度、往生際が悪いねえ〜」 バトーは鼻歌混じりで、答えた。 「すんなり連れ込まれる、馬鹿がいるかーーーっ!」 「すんなり諦める馬鹿もいないと思うぜ?自分のテリトリーに獲物がいるのによ」 トグサの身体を軽々と肩に担ぎ上げたバトーは、ゆったりとした足取りで寝室に向かった。 まんまと手中に収めた獲物を逃がすはずもない。
「たすけ・・・・!!!!!」
トグサの抵抗むなしく、いつものように寝室の扉は閉じられた。
一人、リビングに残されたトグリは、ソファに座ると大好きな絵本を開いた。 小さな足を揺らしながら、楽しそうに。
*********
トグサがトグリの為に、バトーのセーフハウスに通うようになってだいぶ経つのだが。 その間があまりに平穏に過ぎていたので、トグサは油断していたといって良い。 そう。 トグサはバトーのセーフハウスを訪れる、その理由をすっかりと忘れていたのだ。
合意の上に、行なわれる行為のことを。
柔らかなベッドの上に放り出されたトグサは、余裕の表情のバトーを苦々しげに見つめる。 このベッドに放り出されたのは何度目だろうか。 「あんたは本当に、意地が悪いよ」 トグサは、不貞腐れたようにそう言った。 「お前は相変わらず、迂闊だねえ」 それに、バトーはくつくつと咽喉の奥で笑う。 ここまできて、逃げようとは思わないし、結局はいつだって合意の上だ。 (誘うのはバトーだが) しかし、あっさりと身を任せるのは癪に障った。 身体を起こそうとするとバトーに阻まれる。 「逃げやしないって。服ぐらい自分で脱ぐ」 「どうだか?」 バトーは笑いながら、覆い被さるようにして、トグサの肩を押さえつけ、むっつりと引き結ばれたトグサの唇をべろりと舐めた。 それから、深く、唇を合わせる。 誘うようなバトーのキスに、トグサはいつものように目を閉じた。
無言の同意。
バトーの肩を押さえつけていた手が、ネクタイを解き、太い指が器用にシャツのボタンを外していく。 「あんたはほんとに、意地が、悪い」 トグサは、掠れる声で、もう一度同じ台詞を呟いた。 「それがいいんだろう、トグサ?」 笑いを押し殺した低音が答える。 「・・・よくねえよ」 トグサは手を伸ばし、バトーの結わえられた髪を引っ張ってやった。 せめてもの、仕返しだ。 それに、バトーは笑って身体を起こした。 「ああ、そうそう。俺は自分で脱ぐが、お前は俺が脱がすことに決まってんのさ。だから脱ぐなよ?」 そんなことを言って、愉しそうに口許を歪める。 「───あほか」 トグサは、顔を顰めてバトーの義眼を睨みつけた。 宣言通り。 ベッドの淵に腰掛け、シャツを脱ぎ出したバトーの脇腹にトグサは蹴りを入れた。 「バトー」 「なんだ」 「これ以上、トグリに変なこと教えるなよ」 「変?それを言うなら、お前が不利になる様な事は、だろ?」 バトーの笑い含みのその言葉に、トグサはもう一発、蹴りを入れた。
「───うるさいよ」
ボタンが外れたシャツを脱ぐこともせずに、トグサはベッドに仰向けに寝転がったまま、大きな溜息を吐いた。
*********
バトーは軽くシャワーを浴びてから、トグリが待つリビングへ向かった。 トグサはというと。 先にシャワーを浴びさせていたので、バトーが戻った時には既に、不貞寝していた後だった。 ソファに座って、絵本に視線を落としているトグリの頭を撫でる。 「待たせたな、トグリ」 すると、その感触に気付いたトグリは、絵本を手放すと後ろを返り見た。 「ばとぅさん!もう、おはなし、おわったの?」 喜色満面、といったその表情にバトーもつられて笑ってしまう。 「ああ、終わった。偉かったな、トグリ」 「うん!」 手を伸ばして、抱っこをせがむトグリをバトーは抱き上げた。 「ばとぅさん、とぐぅは?」 「ん?もう、寝たよ。疲れたってさ」 本当は、不貞腐れて、が正解なのだが。 トグリにはまだ、そんな感情はわからないだろう。 バトーは、寝室に足を向けながらそんなことを思った。 「ねぇ、ばとぅさん。とぐぃね、あのえほんみたいに、ねんねしたい」 「─────」 それは先程までトグリが読んでいた絵本のワンシーンのことだと、バトーにはすぐ分かった。 友達になったウサギ達とオオカミが、夜空に散らばる星を眺めながら眠る、といったもので。 数匹のウサギが、オオカミを囲んでる絵が添えられているのだ。 その絵が大のお気に入りのトグリは、一つところに皆が固まって眠ることを度々せがんだ。
「いいでしょぉ?」 「ああ、いいよ」
──────また、両手に花か? そう電脳で呟いて、バトーは苦笑しながら、寝室のドアを開けた。
もし、この言葉をトグサが聞いていたなら。 「あんたなぁ・・・」 呆れた表情をしただろうな、とも思いながら。
END
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