| 2005年06月20日(月) |
常世 ─連鎖─ 「常世、散る花、その姿」 �� |
*この話は、缶さんのネタ「常世」をお借りして、書いたSSです*
缶さんが書かれたネタに、寄り添うような形で書きました。 原作・缶さん、というとこでしょうか(笑) 書いてみたい、と思い、それを書くことが出来て、楽しかったです。 缶さん、執筆の許可、ほんとにありがとうございました!!
缶さんのHPはコチラ→「ひげファイア」 NOVELのネタ部屋に缶さんの素敵ネタは収納されています。
えと、何というか。 妄想の暴走が、かなり激しい出来に・・・・orz
缶さん、ごめんなさい・・・orz (最初に謝っておく奴)
微妙な出来上がりの上に。 だいぶ遅くなってしまいましたが(ええ、ほんとにね) このSSは、謹んで、缶さんのお誕生日祝いに捧げます。 お受け取り下さいマセ(礼)
ここで、改めてもう一度。
「缶さん、お誕生日おめでとうございます〜〜〜〜〜!!!」(遅)
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あの日から、実感がないまま、五日が過ぎた。 ゆったりと、至極、ゆったりと。 草薙が病院に収容され、集中治療を受けた時から。 たった、五日。 しかし、長い五日だった。
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草薙は、世界屈指の義体使いで。 誰もが焦がれるほどに強い存在だ。 女性であるとか、義体であるとか、そういう境界を越え。
ただ、純粋に。 その強さに焦がれることが出来る。
トグサにとって、草薙はそういう存在であった。 言葉にすれば陳腐に響くかもしれないが。 何者にも代え難い、特別な人というのが偽りない気持ちで。 温かい家族とは違う位置で、トグサを引き上げ、支えてくれた大切な人だった。
その彼女が、命に危険が及ぶほどの大怪我を負った。
しなやかで強靭な身体は無残に引き千切られ、恐ろしいほどに紅い血が滴り落ちる。 そうなってさえ、その手は銃を握り締め、闘い抜く意思を発していた。
その一途に似た草薙の強さが、トグサに痛みを与えた。
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白い部屋、規則正しく動く延命装置。 子宮を模した楕円のポッド。 その中に浮かぶ草薙。
閉じられた瞼。 薄く開いた唇。
透き通るような白、そこに滲むように黒い影が見える。 何かを象徴するその気配。 ぞっとする冷たさが、そこに存在していた。
生と死が、せめぎ合う空間にいる彼女。
まるで、現実味のない、鏡の向こう側のような光景に。 トグサは、吐き気さえした。 けれど。 込み上げてくるのは、きっと、ゴーストの叫びだ。 叫ぶわけにいかない。 吐き出すわけには、いかない、その叫び。 トグサは、それを無理に飲み下した。 自分だけが、この葛藤を抱えているわけではないのだから。 その一点を思って、トグサは口を噤んだ。
ガラス越しの彼女の鼓動を聴きながら。
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治療室から廊下に出る。 非現実のような現実に、戻る瞬間。 トグサの身体は、酷く、疲れ。 動くことを拒否するように、その場に立ち止まってしまった。
ここに立ち止まっている暇は、ないのに。
皆が、彼女のことをどれほど心配に思っても、ここに留まることは出来ない。 やらなければならないことが、あるのだ。 自分達にしか出来ないことが。 今回の事態の収拾をつけることが、現段階での最優先事項。
トグサはそう、理解していた。 でも。 震える足は、動いてくれなかった。
だから。 一足先に戻っていると言ったイシカワの言葉に、少し、安堵した。 もう少しだけ。 もう少ししたら、ちゃんと歩いて、すべき事をする。 トグサは、心の中で、呟いた。
治療室に視線をやり、深く息を吐く。
隣りに黙って佇んでいたバトーの少し体温の高い手の平が、慰めるように降ってきたのはそんな時だった。 その手は、優しく頭を撫で、肩を抱き寄せた。 トグサは、それに寄り掛かった。 自分を安心させる為か、頬に触れた、指先が温かい。 その指先が、やさしく髪を撫でる。 「・・・あの状態の少佐を見たのは俺も初めてだ」 その低い声に、自分に似た感情の色を感じとり、トグサはバトーから身を離した。 この男は、自分以上に、心を痛めている。 そう、感じた。 「まだ、泣くな」 バトーの唇が微かに触れ、離れた。 その温度が、トグサの心を引き上げる。 「────────」 自分だけが、寄り掛かっている訳にいかない。
バトーの感情を殺して、その優しさに甘えている訳には。
この足で、立ち。 彼のように、立たなくてはいけない。 立てるはずだ。 トグサは、心の中の揺らぐゴーストを押し隠し、バトーを見上げた。 それから、少しだけ、先程の口付けに、困った表情を浮かべてみせる。 動揺がおさまり、落ち着きを取り戻したと見て取ったのだろう。 バトーは、治療室にもう一度目を遣ってから、歩き出した。 「───9課に戻るぞ」 そのバトーの手をトグサは、とっさに掴んだ。 バトーの優しい強さに、少しでも、報いたいと思った。 「少佐は、大丈夫だ。絶対」 言葉と、握り締めた手の平で。 バトーの中に隠された感情を温めてやれたらいい。 「そうだろう、旦那?」 「ああ」 バトーは頷くと、逆にトグサの手を掴み、歩き出した。 「殺して、死ぬようなタマか?あの女が」 いつものようなバトーの口調に。 トグサは、いつもの現実に戻っていくことが出来るのだと思った。
ゆっくりとだろうが。 傷を癒した彼女が現れる、その時へ向けて。 戻っていくのだ。
絶対に。
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