| 2005年04月18日(月) |
11のお題 「流し目でちらちら �ァ� |
とうとう、ここまできた。 一番の妄想暴走地帯。 あああぁぁああぁぁぁぁあ!!!!(頭抱えながら)
「危険です!!危険ですから、下がってください!!!」
と、大声で叫びたい罠発動。
ま。 ここまでアップしといて、今更何を言うて感じですが(笑) なんというか、恥ずかしい訳でしてね。 はぁ・・・・orz
目の前を男の姿が横切ろうとした瞬間に、男のこめかみに銃を突きつける。 相手は、軍のサイボーグだ。このくらいの脅しは許される。 もし撃ち込んだとしても、強化義体には軽い火傷を与える程度だろう。 トグサは、相手に最も効果のありそうな、はったりを使うことにした。 撃つ気があると思わせるのは、時間稼ぎには有効だ。 「私に、何か用があるなら、後日話を聞こう」 自分を消して、査察官である役を演じる。 「所属部隊名と名を言え」 答えはない。 「返答は?」 トグサが銃口をよりいっそう押し付けた、その瞬間、男の身体が沈み、足を払われそうになる。 が、トグサは素早く身を引き、逆に男の腕を取って床に捻じ伏せようとした。 しかし、パワーでサイボーグに敵うはずもなく。 あっさりと腕を外されると、反対に床に押し倒された。 「──────っぐ・・・!?」 床にしたたかに背を打ち付け、一瞬息が止まる。 手にしていたマテバも、衝撃に耐えられず、放してしまった。
「生身だってのに、とんだじゃじゃ馬だ」
自分を見下ろす男の、なんとも不快な表情、耳障りの最悪な声。 そして、虫唾の走る目。 この時になって、トグサはやっと気付いた。 バトーはこういう事態を心配していたのか、と。
ここでのバトーの態度。 周りの視線。 この男の目的が、自分達を公安の者と知っての拘束でないことも。
まあ、気付いたところで、どうにもならないのが痛いところだった。 言っといてくれりゃ良いのに、と思ったが。 きっと、笑って取り合おうとはしなかったろうから、同じことか、と。 トグサは、内心で溜息を吐いた。 それから、可笑しくもなる。 まさか、自分がこんな目に合うとは思っていなかった。 だいたい、思うわけがない。
三十代の妻子持ちの男に、こんなことをしたがる男が居ようなぞとは。
抵抗しようと思ってはみたが、身体に力が入らない。 頭が痛みを訴えていた。 どうやら、床に引き倒された時に頭も打ち、軽い脳震盪でも起こしているようだ。 ここまでだな。 これ以上、自分では状況の打開は無理だと諦め、トグサは目を閉じた。 情けないかも知れないが。 生身では、これが精一杯だ。 こうなれば、バトーが来るのを待つだけである。 揺れる頭で、思う。
ああ、そうか だから、旦那は あんなに、不自然だったのか 俺が、変に、動揺しないように
トグサは、波立っていた心が落ち着くのを感じた。 状況は深刻そのものだったが。 何故か、心は平静だった。 今までの数日間のバトーの態度の理由が分かったことで、トグサの胸はすとんと落ち着いた。
「余裕だな、あんた」
落ち着き払ったトグサが気に障ったのか、男の声が苛立ちを含んで聞えた。 男の声にトグサは閉じていた目を開ける。 「もしかして、こういう事には慣れてるのか?」 「・・・・・んな、わけあ、るか」 声が出るだけ、良かったとトグサは思った。 黙って、言いなりになるのは癪だ。 「あの、義眼の大男か?」 「・・・・・・は?」 いきなりのその言葉に、トグサは本気で驚いた。
なに、いってんだ、こいつ? だんなが、なんだって??
「凄いカオして、威嚇してたもんなあ。自分の所有物が人目につくのは我慢ならねえんだろうよ」 「─────────」 「あんたが犯られたら、どんなカオするかねぇ?」 「・・・しる、か」 痛む頭は思考するたびに、ぼやけていくようだった。 この男の言うことは、理解に苦しむ。
だんなが、どんなかおするか? しらない おまえのいってるだんなが、おれのしってるだんなとちがうから だんな だんなは、しんぱい、するだけだ ただ、おれをきづかって、しんぱいするだけ・・・
トグサの表情が曇ったのを見て取ったのだろう。 男は下卑た笑いを浮かべて、トグサの解けたネクタイを引き抜くと、両手を拘束した。 それから、男は軍服の上着のポケットを探り、針のない奇妙な形をした注射器のような物を取り出す。 圧力を利用し、針を通さず、薬液を体内に送り込むというものだ。
ああ、やばいな、ほんとに
捜査中に何度も見たものが、目の前に突きつけられて、さすがにトグサも身じろいだ。 そんなトグサの考えを読んだように、男はトグサの顎を押さえつけると、露わになった首筋に注射を打ち込む。 首筋から、何か冷たいものが侵入してくるのが分かった。
どらっぐ、だよな、これ ああ、まじで、やばい
暫くすると、頭の痛みとは違う、ふわふわとした感覚が全身を包む。 ドラッグを打たれた首筋から、熱が拡がっていく感覚だ。 それだけが、はっきりと解った。 抵抗は出来ないが。 しかし、この状況でも、出来ることはしておきたい。 トグサは、潤んでいく目を男に向けた。 せめて、男の顔を。
この、かお、どこかでみ、たんだ
霞がかかった頭で、トグサは最近の記憶のログを確認しようとした。 しかし、やはり上手くいかない。 時系列がバラバラに、再生される。
昨日、今日、三日前。 一昨日、一時間前、バトーと別れた瞬間。
自由にならない手足のように、思考もトグサの手から、離れていきそうだった。 そして、ぼんやりとした頭に、バトーの心配そうな顔と気配とが思い出され。 心が冷えた。
なさけない、な あんたに、しんぱい、かけたく、ないのに
その思いが、トグサの胸を穿つ。 調べていたドラッグを身をもって体験するというのは、捜査員として情けない以外の何者でもない。 これでは、新人の頃と変わらない。 少しは、成長できたと。 バトーの相棒として、背中を守れるくらいには。 そう、思っていたのに。 そうじゃなかった? 自分の思いに、トグサの心が悲鳴を上げた。
だから、あんなかおして、たんだな だん、な
シャツのボタンが引き千切られ、素肌を男の冷たい手が弄る。 トグサは、悪寒に震え、眼を閉じた。
きもちわるい、さむい、はきそうだ
男の手が、自分の肌を這うたびに、奥底に眠る暗いものが引き摺り出されるようだった。 生身であることの限界。 捨てられない、甘さが滲む感情。 護られるばかりの、自分。 心の弱い部分に沈み込んでいく自分をトグサは止められなかった。 いつもなら、それらを身の内に抱えていても、前を向くことが容易であったのに。 今は、それが恐ろしくて、出来ない。
冷たい男の手が、無遠慮にトグサの下肢に伸びる。 動こうとしてみたが、薬のせいか、上手くいかない。 ベルトが外される音が、やけに電脳に響いて、トグサは耳を塞ぎたくなった。 これ以上、自分の沈んでいく音は聴きたくない。
「い、やだ」
トグサが掠れる声を上げた、その瞬間。
「トグサッ!?」
聞き慣れた、耳に心地よい低音がトグサの電脳を振るわせた。 自分の上に覆いかぶさっていた男が、眼を見開いたまま、動きを止める。 バトーの大きな手が男の頭を鷲掴み、首筋に何かを押し当てているように見えた。 電脳錠だろう。 熱に痺れ、しかし、冷たさに覆われた頭で、事態を理解した。 「・・・だ、んな」 情けなく、震えてしまった声に、被るようにバトーの怒鳴り声が降ってくる。 バトーは、トグサの上から男を剥ぎ取ると、遠くの床に投げ捨てた。 遠くで、鈍いどさりという音が聞えた。 「悪ぃ、遅くなった!」 やはり、バトーの下にも、足止めの要員の男が数人いたようだ。 それらのサイボーグを叩きのめして、全力で駆けてきたのに違いない。 バトーの表情で、トグサにはそれが解った。 「無事だな!?トグサ、ヤられてねえな!??」 力強い腕に、床から引き上げられる。 バトーに抱き起こされて、トグサはその胸に寄りかかることになった。 冷たさが、すうっと消えていく。 嘘のように。 「おい!?」 トグサの手首に巻かれたネクタイを剥ぎ取るように外し、バトーはトグサの頬を叩いた。 「トグサ、返事しやがれ!!!」 「──────い、たいよ・・・だんな・・・」 「うるせえ!大丈夫なんだな?!」 自分を抱きかかえ、心配を顔に貼り付けたようなバトーに、トグサは、笑ってしまった。
ほら、みろ だんなは、こういう、かおをするのさ おまえのしらない、やさしい、かおを
トグサは、勝ち誇ったような気持ちで、そう思った。 「だい、じょうぶだ、て」 バトーの義眼を見返す。 すると、バトーの眉間には皺が寄る。 「あんた、が、きてくれた、ろ?」 それに、バトーは口許を歪ませたと思うと、トグサの頭を優しく抱きかかえた。 それから、微かに。 囁くような声が耳に届いた。 「心配させるな、トグサ」 「────────────」 「だから、言ったろうが、知らない奴には隙を見せるなって」 浮遊感の中、トグサはいつものバトーの軽口に応えてみせた。 「・・・きい、て、ねえよ・・・だんな」 「察しろ」 「い、ってくんないと・・・そゆ、ことは」 トグサは何とか震える手を持ち上げ、バトーの温かい腕を叩いた。 「世話のかかる、生身だぜ、ほんとによ」 それで、バトーの緊張が解けたのが分かった。 大きく息を吐くバトーに、トグサはぐったりと寄りかかった。 身体が、熱い。 自分の言う事を聞いてくれない。 さっきまでは、あんなに、冷たくて。 気持ち悪くて、堪らなかったのに。 「だ・・・な」 「何だ?」 「わ、り・・・薬、は打たれ、ちゃった」 やっとの思いでそう言うと。 また、バトーの怒声が耳を震わせた。 「こんの馬鹿!!先にそれを言えーーーーーー!!!!」 「あ、はは・・・す、んませ・・・・・」 この怒鳴り声も、愛おしいのは、なぜだろう? トグサは、バトーの腕の中で、掠れた笑い声をあげた。
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