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 真夜中のサヴァナ─楽園に棲む妖しい人びと/ジョン・ベレント

内容(「BOOK」データベースより)
サヴァナ、それは「北米一美しい街」と評判の、アメリカ南部に眠る"楽園"である。しかしその住人は妖しさもとびきりだ。由緒ある大邸宅にたったひとりで暮らす男、見えない犬を連れて散歩する老人、数々のミスコンを制覇した女装の名花…そしてある日、これら一癖ある人びとの日常の平穏を破る、奇妙な殺人事件が起こった!クリント・イーストウッド監督映画化の、実在の街と事件に取材した傑作ノンフィクション。


著者のベレントがサヴァナに惚れ込み、しばらくの間、ほとんどサヴァナに滞在し、人々の取材をしている間に殺人事件が起こり、後半はその裁判の模様を描くノンフィクション。

「事実は小説より奇なり」という言葉を実証するような話ばかりで、こんな町に住んでいたら、絶対退屈しないだろうと思う。そこにアメリカ南部特有の妖しい不気味さも加わって、雰囲気もたっぷりなので、ノンフィクションとはいえ、ファンタジーでも読んでいるような感じさえする。

後半、ベレントが滞在中にたまたま起こった殺人事件が中心になってくるが、「奇妙な殺人事件」と書いてあったので、アメリカ南部らしく吸血鬼にでも襲われたか?と思ったが、期待は外れて、ごく平凡な殺人であり、犯人もはなからわかっている。それが故意に殺したものか、事故なのかといった裁判の行方を追うのが面白いといったところだろう。

ただ、サヴァナの住人はみな魅力的で面白いのだが、著者のベレント(語り手)の存在が目につきすぎるかな?という感じがした。ベレント自身は面白くもなんともないキャラクターなので、サヴァナの奇人・変人との比較対象としてはちょうどいい普通の人であるのかもしれないが、彼が会話に加わったり、口を出したりするのは余計なことのような気がした。できることなら黒子に徹してほしかったという感じがする。ベレントが面白がって頻繁に登場させているオカマのシャブリも、今では特別奇妙な人物ではないし、出すぎの感があって、食傷気味。本全体としてはとても面白い。

巻末に、訳者の真野さんのあとがきのほかに、青山南さんの文章も掲載されていて、アメリカ南部ファンには嬉しい。この本と合わせて、南さんの『アメリカ深南部』という本を読む(見る?)と、さらにサヴァナの雰囲気を詳しく知ることができるので、お薦めしたい。



2003年09月15日(月)
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