空色の明日
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2010年06月19日(土) 写真

もう余命が残りわずかと分かった時に
母が私と弟に告げました。

「気にかかっていることを先に片付けておきたいの」

それは葬儀の準備でした。
母方の祖母は健在で、祖父は若いときに
離れて別の場所で亡くなりました。

だから私たち3人は葬儀の準備の仕方を知りません。
父の最後の時を慌しく過ごしたくないという
気持ちは3人とも同じでした。

何から手をつけていいのか分からないときに
母の姉が葬儀についてサポートしてくれる
NPO法人があることを教えてくれ
そこに連絡をしたところ、本当に丁寧に
段取りや私たちの希望をかなえてくれそうな
葬儀社を紹介してくれました。

これといって宗教を信仰していない父だったので
できれば無宗教葬がいいというのが
本人と母の考えでした。

紹介された葬儀社の方は本当に丁寧で
コストもスマートで明確に見積もりをしてくれ
希望に沿うような提案をしてくれました。
入院から2週間の頃でした。

準備がおおまかに整い気がかりがなくなって
安心してそれからの日々を過ごせたのは
そのNPOの存在と葬儀社の方のおかげでした。
そして実際の葬儀までのすべてが求めていた通りに
進んだわけですがそれはまた後に。



90歳を超える祖母の遺影にと
何枚も写真を撮っていた父が、残した自分の写真は
本当に皮肉なぐらい素直にニコリとは笑えていない
恥ずかしそうなおかしな顔ばかりでした。

3人でかき集めた写真がどれも使えそうになく
どうしたものかと父の部屋へ行くと
趣味の旅行で撮ったたくさんの風景の写真の上に
なぜか1枚だけ父と母と姪が映った近所の浜辺での
写真が乗っかっていました。

それは散歩の途中で父のカメラを借りて
小学校3年生の甥が撮った写真でした。

甥の向けるカメラに映ったその顔は
素直で優しいまっすぐに幸せな笑顔でした。

その幸せの始まりを作ったのは
自分と母だったということに
その時の彼は気づいていたでのしょうか。


少し遠景気味だったので引き伸ばすとぼやけそうでしたが
この写真にしようとすぐに決まりました。


安藤みかげ