空色の明日
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時々ここに登場している我が母。 いつも元気はつらつの彼女は以前勤めていた病院をやめ 今は職安に通いながら週一でホームヘルパーのバイトをしている。
そのバイト、いわゆる一人暮らしの老人のお手伝いをするという ヤツなんですが、これは1日2時間で6000円もするという とってもバブリーなサービスなのです。 もちろん彼女の懐に入るのはいくらもピンハネされた後の、微々たる お小遣いなのですが、こんなサービスを受けている人はやっぱり バブリーな人なのです。
彼女のいま行っているところは神戸の北野にある、ものすごく 由緒正しき高級中華料理店のマダムのお宅なのです。 もちろんマダムはもう引退され、今は息子さんが跡を継いでいます。
私が秘書として勤めた時にもその世界観の違いに驚きましたが いくら役員と言えどもサラリーマン。 それに比べてこのマダムは紛れもない大金持ち華僑なのでございます。 それまでにもとっても偉いお茶の先生とか、元ヤクザのおじいさん とかいろんな人の家を担当し、さまざまなカルチャーショックを ショックとも受けとめず、めくるめくリアルな別世界を 嬉々として楽しんできた彼女。
今もそれはそれは楽しいらしく、先日も「ちょっとお肉を買うから ついてきてくれるかしら」と言われついていったら、とーっても 小さい肉の卸みたいなとこに連れていかれ、そのマダムがきた瞬間 お店の店主は奥の倉庫から表に並んでないような素晴らしい肉を その場で切り始めたそうな。 「ひゃー、やっぱり金持ちは違うね!」とおもっていたら お代を聞いてさらにびっくり! なんと店頭の普通の肉と同じ値段!!!! そう、そのお肉屋さんはマダムの高級料理店に卸している肉屋さんだったのです。
表には出ないけれどいろんな世界がこの世の中には潜んでいます。 そういういろんな世界を垣間見れるという意味で彼女は この仕事をすごく楽しんでいます。 これって「家政婦は見た」と同じだと思うんだけど(笑)
まあ、老人介護の仕事って合わない人にはとってもつらいと 思うんです、正直。 でも彼女の場合、私に輪をかけて楽天的と言うか、なんでも 得になるように考えて吸収しようとする。 だからボケてしまった「元偉い人」なんかと話すと、意外な 正直な気持ちなんかを聞けるのでとっても為になると喜んでいます。 歳を重ねた分だけ深くて重い生活の中にスルリと入りこめるなんて なかなかできないこと。 彼女の話しを聞いてるとなんでも楽しく聞こえてきちゃう。 ああ、私はやっぱりあんたの娘だよ(笑)
安藤みかげ
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