空色の明日
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2000年10月23日(月) 黄金の秋

今日大阪もやっと街中がキンモクセイの香りに包まれました。
今年はちょっと例年より遅い感じ。
ある朝目覚めて外に出るとあたり一面が黄金色に感じるような
あの甘いような香ばしいような乾いたような香り。
毎年10月になるとこの日がとても楽しみ。
甘いのにクリアなその香りに気持ちがスキッと冴え渡る。
夏の疲れの名残が吹き飛んで背筋が伸びる。

街の中に暮らすと空の色とか太陽の光の加減とか空気の匂いとか
そんなものくらいでしか季節を感じられない。
だからかえってそういう今まで見過ごしていた事に妙に敏感になる。
よそのお家の軒先に咲く花の香りで季節を実感する。
私の住む街は工場街なので街の色はほんとうに灰色だ。
だけど今日は心の中が黄金色。

今日、南の国に滞在している友達からメールが来た。
旅立つ時に教えてあげた本があまりに繊細でその国には合わないらしい。
たしかに真っ青な空のもとなにもかもが大雑把でそんな南国には
日本人の神経質は不似合いすぎる。

元一風堂の土屋昌巳が今ロンドンに住んでいて、何かのインタビューで
「どうしてロンドンなんですか?日本じゃだめですか?」という問いに
「僕はロンドンが一番暮らしやすい。それはパリでも東京でもだめだ。」
と言っていた。
生まれた国が肌に合わないなんて本当に不幸だ。
静岡の田舎で生まれ育った彼が中学生の時に家を飛び出したのも
そういうことだろう。
人は順応できる事とできない事があるということをこのインタビューを
読んで初めて感じた。

灰色の街で心を黄金にするこの国の人は不自然にナーヴァスすぎるのかもしれない。
でも私はこの国のそんなところが好きだ。


安藤みかげ