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2005年06月12日(日) みちのく1年生〜八戸大・道広伸一〜

 過去最強と言われている八戸大の1年生たち。
全日本大学野球選手権では10人がベンチ入りしているが
そのなかで早くも頭角をあらわした選手がいる。
今春、北東北大学リーグで堂々のベストナインを受賞した道広伸一。
開幕から2番センターに座り、打率.361という成績を残した。

出身は広島県との県境にある岡山県笠岡市。
中学時代は広島の福山スワローズ(ヤングリーグ)に所属していた。
捕手と一塁以外は全てのポジションを経験したが
俊足をいかせる外野にしぼり、高校進学を迎えた。
「近大福山には決まっていたが、知人に紹介されて
関西創価のセレクションを受けた。
ダメ元のつもりだったのが最後の一枠に残ったんですよ」

3年になると3番センターとして定着するようになるが
最後の夏は2回戦敗退、あまりに早すぎる夏だった。
しかも相手は格下と思われた市立東高校。
「この悔しさを大学でぶつけよう」と強く誓った。
前年は7人もの選手が系列の創価大へ進学したが
道広に声はかからなかったという。
しかし、八戸大の藤木豊監督から「ぜひうちで」と誘われた。
おまけに開幕から出させてもらえるという最高の条件付き。
「中途半端な気持ちで野球はやめたくない。神宮には絶対出よう」

進学が決まると、まずはフォーム修正に取り掛かった。
高校時代はオープンでオーソドックスなものだったが
「木製は芯に当たらないとダメ」
試行錯誤を重ね、冬場はコーチと二人三脚で
納得のいくまでいろいろなフォームを試したという。
そして完成したのが今のイチローのようなフォームで
バットをやや前方で揺らしながらタイミングを取るものだ。

3月頭から始まった沖縄キャンプにも帯同し
今年初のオープン戦となった早稲田大戦。
左打ちの道広は左腕・宮本賢のストレートをレフトオーバーに運んだ。
「これで自信になったし、らくになれました」
その後20試合近い実戦をこなしていき
「最初は不安もあった」が周囲も認めるチーム最高打率を残した。

50メートルは6秒。創価大戦(再試合)では
その足で右に左に抜けそうな打球を好守している。
打撃はミートがうまく、四国学院大戦の全5打席は
2ストライクと追い込まれてからの出塁が3回あった。
今大会全3試合で12打数6安打(三塁打1)、三振はわずかに1つ。
4番の内藤雄太に次ぐ打率をマークした。

「先輩たちについていくだけじゃ普通の1年。
僕も引っ張っているという気持ちで試合に出ている」
1年生とは思えぬ堂々としたコメントだが
プレーもまたそれに匹敵するものであったことは間違いない。

選手権でのバッターボックス写真


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