朝から大勢の観衆を集めた芦ノ湖,往路を制した神大がスタート。
その２３秒後に駒大が,そして順大,早大がつづいた。
少し上って,下りにさしかかると,吉田(駒)が谷口(神)を追いぬき独走。
その差はどんどん広がる。
５番目にスタートした大東文化大の金子は
山下りのスペシャリストでその勢いも止まらない。
７区からは揖斐が走る駒大は２位の順大との差を
１分５０秒とし襷をつなぐ。
だが,そこから３位だった柴田(大)と４位の空山(早)が
順大の伊牟田をとらえ,２人による激しい２位争いを繰り広げる。
実況アナウンサーも２人の戦い振りに声を上げていた。
柴田が前に出れば,空山も負けじと追っていく。
結局,２位で８区に襷をつないだのは柴山だった。
しかし,１年生・空山の快進撃には目を見張るものがあった。
トップを走る揖斐(駒)の敵は区間記録。２人の姿は見えない。
そのまま１年生の塩川につなぐが,区間記録は惜しくも逃す。
出遅れた順大は４位,だが８区を走る中川の走りは素晴らしかった。
さっきまで２位争いをしていた大東文化と早稲田をすんなりと交わし
駒大の背中を追う。この中川,区間賞を受賞。
来年,チームのエースになることは間違いないような走りだった。
エース岩水を欠いた順大は,エントリーを変更せざるを得なかった。
そこで中川を８区に抜擢,これが吉と出たのだ。
９区,いよいよレースも終盤に入り,名物“権太坂”も待ち受ける。
トップの駒大は主将の高橋正仁。
昨年,同じ９区で順大の高橋謙介と激しい首位争いをしたことで
一気に注目されるようになった。
高橋謙を追いぬくも,最終ランナーで逆転され２位に泣いた。
その高橋正が区間新記録を意識した走りで,優勝を確実にする。
以下,２位は順大の長山,３位に早大の後藤
４位大東文化大の山脇,５位中大の原田。
ここで中大が大東文化をとらえ４位に浮上する。
下位では熾烈なシード権(９位以内)争いが繰り広げられている。
鶴見中継所,４分近い差をつけた駒大の高橋正が
アンカー・河村に襷をつなぐ。去年はこの河村は３区で走った。
しかし監督は,彼がもうちょっと頑張っていれば
優勝できたんだとコメントしていた。それがずっと悔しかったそうだ。
今年の河村は明かに違う,１�腺格�をきるペースで走っている。
トップのランナーから２０分以内に他校も中継所に到着しないと
繰り上げスタートになるルールがある。
昨年はそれが１度も無かった。
しかし,今年はその瞬間をこの９→１０区の最後の中継所であった。
９区を走る１２位関東学院大の駒形は残り４０秒で
アンカーに襷を受継ぐことができた。
が,１３位専修大学・福島が襷を肩からとったとき
その襷を渡す相手(アンカー)は待っていてはくれなかった。
それは東海大も同じだった。目線の先には襷を渡す相手が走っている…
春田(順)が駒大の河村を追いかけるが,姿は見えない。
４分以上の差がひらき,逆に自分が後ろの櫻井(早)を意識しなければ。
そう思っていた頃に河村はゴールしていた。
駒大の「かわむら！」というコールにニコニコしながら
ガッツポーズ,両手をあげてコーチや仲間のところへ飛び込んだ。
駒大,復路新記録で優勝！
下馬評通りの走りを見せて２年ぶりに栄冠を勝ち取った。
つづいて春田がゴールするも,笑顔はもちろん無い。
しかし,エース・岩水を欠いて挑んだ今大会で２位とは立派である。
一時は８位まで落ちた順大。２位までのぼりつめることができたのは
往路最終ランナー・箱根の山で５人を抜いた
４年生・野口の走りにあったかもしれない。
順大がゴールすると,すぐに早大・櫻井の姿が見えた。
昨年の箱根はあとちょっとのところでシード権を逃し
予選会からのスタートとなった。その早大が３位。
アンカーの櫻井は区間新記録を出し,
他にも２区原田,３区森村,７区空山が区間賞を受賞した。
また同じく予選会から出てきた亜大。
５年ぶりの出場にも関わらず堂々の７位。最後は胴上げも行われた。
参考記録ながら走った法政はゴールで徳本が迎えていた。
１５校目にゴールテープをきった専大を見届けようと
帰るそぶりを見せる観客はいない。
もちろん私も,最後の専大がゴールするまでテレビは消さなかった。
第７８回箱根駅伝,往路は大混戦を見せたが,駒大の総合力と
「絶対優勝」という強い思いに勝るチームはなかった。
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