SS‐DIARY

2022年04月26日(火) (SS)Interview with a lover



side: hikaru


塔矢のこと? 好きだよ。そりゃもちろん。

愛してるし、色々したい。

浮気? うーん……そんなのしたらマジで殺される(笑)

ただ、そうだな。ものっっっっっすごく正直なところを言えば、他の誰かを好きになりたいと思ったこともあるよ。

だってしんどいんだもん、すごく。


塔矢と愛し合うっていうのは、傷つけ合うのと同義語みたいなところもあるし、そもそも対局で一番倒さなくちゃいけない相手だしね。


喧嘩もよくするし、本当に別れる寸前まで行ったことだって何度もある。
それでも別れなかったのは……んー……難しいな。

可愛い子も綺麗な子も話の合う子もごまんと居るのに、塔矢より好きになれる子がいない、からかなぁ。

どんなに良いなと思った子でも途中ですっと冷めちゃう。

大体さぁ、最初に出会ったのガキの頃だぜ? それであんな強烈なのすり込まれたら、もう誰も敵わないよな(苦笑)


鮮烈。

強烈。

激烈。


離れることもよそ見をすることも許されない。
積み重ねて来たものがおれ達にはあまりにも多くて、たまにそれに圧倒される。

塔矢はさ、あれで結構焼き餅焼きだし、裏切ったらおれ、滅多刺しにされるんじゃないの?

それでも、それでいいかなって。
塔矢に殺されるならそれも本望。
でも出来るなら、のんびりじじいになりたいかな。
生涯一緒で、ずっと向かい合って碁を打ちたい。


それってなんかもの凄く幸せそうだろ?






side: akira


進藤のこと?

好きだし、愛しているんだろうなと思う。

あんな身勝手で、わがままで自己中心的な男をなんで好きなんだろうなと思う
こともあるけれど、それでも結局のところ、「好き」なんだから仕方がい……と思っている。


自覚した時はかなり落ち込んだし、色々考えたりもした。
別れようと考えたことだって一度や二度じゃない。


一緒に居るだけでこんなに心を落ち着かせなくさせられるのは本意では無いし、打つのにも支障が出る。そんな相手を伴侶にするのは愚か者にも程があると思う。


碁が目的なんじゃないか?

それはあるかもしれないね(笑)

進藤と打つ碁はぼくにとって唯一無二だから。

それ以上の至福をぼくは知らないから。

生涯、共に在りたいとそう思っている。

浮気?

そうだな。もし進藤がぼくから他へ心を移したら殺すかもしれない。

ぼくに心を開かせ、本来なら踏み入れない場所に立ち入った。その挙げ句に裏切ったならば何をされても仕方が無いんじゃないか?

面倒なことは嫌いだから、ぼくは生涯で一人しか好きにならない。

だから熟考に熟考を重ね、精査した上でその人は決めたかった。

でも気がついたらもうぼくの中に入って来てしまっていたのだから諦めるしか無い。
ので、相手にも諦めて貰うしか無いんじゃないかな。

自業自得の自己責任だしね。

それでもぼくは案外幸せに死ぬんじゃないかなと思っている。

諍って、睦み合って、打って、寝て、食べて。

幸せに生きて、幸せに死ぬんしせゃないかと思っている。




それだけで充分身に余る。



end



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全部読み終わった後、塔矢→おまえ。進藤→キミに変えて改めて読んでいただき、更にタイトルを見ていただけたなら嬉しいです。


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