「おい進藤、塔矢がおまえのこと好きだって言ってたぜ」
四月一日、エイプリル・フール。折角なので嘘をついてやれと進藤に言ってみたら、驚くかと思いきやあっさりと返された。
「ああ、うん。知ってる」
「は? いや、そういう意味じゃなくてさ、マジで惚れてるって言うか、おまえになら抱かれてもいいって言ってたぜ?」
言い過ぎかなと思いつつもあまりにリアクションが薄いのでそう言ったら、今度は進藤はにやりと笑って言ったのだった。
「ああ、だからそんなのよっく知ってるって」
さてはあいつ、エイプリル・フールってことを解っていたのかと、じゃあと今度はそういったことに全く興味の無さそうな塔矢を探して言ってみる。
「おい塔矢、進藤がおまえのこと好きだって言ってたぞ」
「うん。知っているよ」
またかよと思いつつ、ため息混じりにだめ押しをする。
「違うって、そういう好きじゃなくてさ、おまえのこと押し倒してヤリまくりたいくらい好きだって言ってたんだけど」
「だから知っているよ」
もっとも、「くらい」じゃなくてもうされているけれどねとにっこりさらりと返されて、おれはこれが嘘に対する嘘返しなのか真実なのか解らずに、でもとても恐ろしくなってしまったので、それ以上考えるのを止めたのだった。
|