| 2014年10月15日(水) |
(SS)という夢を見たと言ったので怒鳴ってしまった |
「バカじゃねーの? バカじゃねーの? なんでそこで逃げねーんだよ! 二人一緒に死んじゃって、それでいいことなんか一つもねーだろ!そもそもおれが逃げろって言ってんのにどうしてそこ丸無視なわけ? 普段全然言うことなんか聞かねーんだからそういう時くらいおれの言うこと聞けってんだよ! おまえだけでも生きてて欲しいって夢の中のおれに謝れ!」
破滅的な夢を見たとその内容を話されて思わずムカっとして怒鳴りつけたら塔矢は反抗的な顔で「嫌だね」と言った。
「ほら、そーやって言うこと聞かないじゃん! おれの最後の言葉くらい素直に聞いたっていいだろう」
夢の中の話とは言え、怪我をしたおれを見捨てられずに居残って襲ってくる化け物に一緒に殺された。そしてそれをさも幸福なことのように言う塔矢がどうしてもおれは許せなかったのだ。
「じゃあキミは逆の立場だったらそうするのか?」
もし怪我をしたのがぼくで一人で先に逃げてくれと言われたら喜んでそうするのかと尋ねられて即座に「んなわけねーじゃん」と怒鳴り返した。
「一緒に居るよ。おまえ置いて逃げられるわけねーだろ」
そもそも一人だけ生き残ったって全然意味なんか無いんだよと言ったおれの言葉にそうだろうと大きく頷く。
「ぼくだって同じだよ。二人一緒に生きられないならせめてキミと一緒に死にたい。そう思って何故悪いんだ」
「………… っ、でも、それでもやっぱおまえはダメ! おまえは生きてなきゃダメなんだっ!」
我ながら駄々をこねる子どものようだと思いつつ、それでもどうしても譲れなくて塔矢を怒鳴る。
「おれはおまえに生きてて欲しいんだって! おれが生きられないんだとしたら尚更おまえにだけは生きてて欲しいんだってば!」
おれはおれ自身よりもおまえの命のがずっとずーっと大切なんだと終いには半泣きになって訴えた。
「どうしてそれがわかんねーんだよ」
「だったらぼくも百万回でもキミに言ってあげる。ぼくだってね、ぼく自身よりもキミの命の方がずっと…ずっと大切なんだよ。だから例えそれがキミの最後の願いだとしても窮地にキミを置いて逃げるようなことはぼくは絶対にしない」
出来ないんだと塔矢もまた泣きそうな顔になって、けれど揺るぎない頑なさで言い切ったので、そこからまたしばらく不毛な言い争いになったのだった。
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とうやの日SSの続きみたいなもの。矛盾しているし理屈は成り立っていないですが、感情とはこういうもんですよね。永遠の平行線です。
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