SS‐DIARY

2014年06月30日(月) (SS)じゅーんなぶらいど


毎年6月も終わりに近づいて来ると、進藤は決まって大きな溜息をつく。

「あーあ」

今もまたカレンダーを眺めつつ、ふて腐れたような顔をしているので尋ねてみた。

「キミ、そういえばいつもこの時期はそうだけど、何かあるのか?」

「いや、だってもう6月が終わっちゃうからさ」

「別に大きな棋戦とか、何か催しがあったりとかするわけじゃないじゃないか」

それともぼくの知らない彼にとっての大事な何かがあるのかと思い、更に突っ込んで尋ねてみれば、進藤はぼくを見詰めて膨らんだ頬をもっと膨らませた。

「おまえにも関係あることじゃん」

「ぼくにも?」

「そう、だって6月過ぎちゃったらもうジューン・ブライドになんねーだろう?」

おれ、おまえには絶対シアワセになって欲しいからケッコンするなら6月って決めているんだと至極真面目に言われ、一瞬言葉を失った。

「あ…でも…」

「今年はなんとかって思ってたんだけど、まだおまえより段位低いし、金貯まってねーし」

「いや、進藤」

そもそも男同士で結婚は出来ないし、万一出来たとしてもぼくは花嫁では無いからジューン・ブライドにはならないしと頭の中を数多の言葉が駆け巡ったけれど、どれ一つ口に出すことは出来なかった。

「まあ、来年は頑張るから期待して待っててくれよな」

頑張って勝って、おまえのこと速攻で追い越してプロポーズするからと、あまりにも嬉しいことを言ってくれてしまうのでそれを壊すのが惜しかったのだ。

「そうだね、うん。期待している」

でも悪いけどぼくもキミに負けたくは無いからと言ったら進藤は心外そうに「なんでだよ?」と叫んだ後に、「だったら再来年」、「再来年だったら絶対だ」と自信満々でぼくに宣言したのだった。


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法律が変わって同性同士でも結婚出来るようになればいいよ。


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