SS‐DIARY

2014年05月27日(火) (SS)微乳と巨乳の間


本当に酔っぱらいはしょうもない。

和谷宅で若手数人で飲んでいたヒカルは、いい感じに酔いが回って来た頃にふとカバンの中に入れっぱなしにしていた物のことを思い出した。

「なんだよいきなりカバンなんか漁りだして」

グラスをかざしながら和谷が言うのに、いいからいいからと背中で答えて、ごそごそしていたかと思ったらやおら振り向いて言った。

「じゃーん、巨乳!」

ヒカルのTシャツの胸の所には袋入りのメロンパンが二つ入っていた。

「何が巨乳だこのクソバカ!」

「目が腐るわ!」

などなど思う存分罵られて、でもかなり笑っても貰えたのでヒカルはご満悦だった。

つんつんと肩を叩かれ振り返るまでは。


「あ――――――――――――――――――――――塔矢」

仕事の都合で遅れてやって来るはずのアキラのことをヒカルはすっかり忘れていた。

「…………随分盛り上がっているね」

いつの間にかやって来て真後ろに立っていた塔矢は、顔はにっこりと笑っているのだが雰囲気が怖い。

「あ、いや、その、これは」

慌てふためくヒカルに構わず、アキラは無遠慮にヒカルの胸に視線を移した。

「…ふうん、キミはそのくらいが好みなんだ」

悪かったねいつも我慢させてしまっていてと、これだけは小さくヒカルだけに聞こえるように言う。

「いっ、いやっ、そんなこと無いっ、大きいのは苦手って言うか、おれはむしろ板っぺらみたいなのが好みって言うか、微乳が好み―」

「まあキミの好みなんかどうでもいいんだけど」

もにょもにょと言い訳するのをアキラはバサリと断ちきった。

「で? 何がどうなってこういうことになっているのかな」

らしくなく乱暴な仕草でドカッとその場に座ると、アキラは身振りで酒とグラスを要求した。

そして怯えた岡からそれらを手に入れると、改めてにっこりと一同を見渡して「飲みながらじっくり説明して貰おうか」と低い声で言ったので、ヒカルはもちろん皆の酔いも一度に覚めて、室内は氷点下に凍り付いたのだった。

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※アキラの沸点1、研究会のはずなのに完全に飲み会になっている。2、ヒカルが食べ物で遊んでいる。3、それを誰も止めないというのはどういうことだ。4、ヒカルの好みが巨乳らしい。以上。

どうですかAさん。


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