SS‐DIARY

2013年07月03日(水) (SS)見守る立場からもう一歩


いつのまにか背が伸びて、ぼくを軽く追い越した。

薄かった胸板も厚くなり、顔立ちもいつの間にか大人びた。


碁に関しては言うまでも無く、かろうじて先に立っているもののいつ追い越されるかわからない。


子どもの頃から目が離せずにずっと見守ってきたけれど、

彼はいつの間にか姿も才能も抜きん出た『イイ男』に変っていたのだった。


「進藤…」
「ん? なに?」

「キミ、この間院生の女の子に告白されたって聞いたけれど」
「あー…、結構カワイイ子なんだけどどうしようかなと思ってさ」

「迷っているならやめた方がいいよ」
「やっぱそうかな」
「うん。それで―」


ぼくと付き合えばいいと、どこの誰ともわからない女に奪われるくらいならと、

ぼくは秘めていた気持ちを吐き出してしまった。


「ずっと、ずっと…キミのことが好きだった」


だから出来ることならば、キミにもぼくを好きになって欲しいと、

叶うか、叶わないかわからないけれど、

ぼくは見守る立場からもう一歩踏み出して、自分から彼に告白したのだった。

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web拍手用SS、「頑張りやな君へのお題」の「見守る達時からもう一歩」です。4日にヒカル視点の話が載っています。


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