| 2013年07月03日(水) |
(SS)見守る立場からもう一歩 |
いつのまにか背が伸びて、ぼくを軽く追い越した。
薄かった胸板も厚くなり、顔立ちもいつの間にか大人びた。
碁に関しては言うまでも無く、かろうじて先に立っているもののいつ追い越されるかわからない。
子どもの頃から目が離せずにずっと見守ってきたけれど、
彼はいつの間にか姿も才能も抜きん出た『イイ男』に変っていたのだった。
「進藤…」 「ん? なに?」
「キミ、この間院生の女の子に告白されたって聞いたけれど」 「あー…、結構カワイイ子なんだけどどうしようかなと思ってさ」
「迷っているならやめた方がいいよ」 「やっぱそうかな」 「うん。それで―」
ぼくと付き合えばいいと、どこの誰ともわからない女に奪われるくらいならと、
ぼくは秘めていた気持ちを吐き出してしまった。
「ずっと、ずっと…キミのことが好きだった」
だから出来ることならば、キミにもぼくを好きになって欲しいと、
叶うか、叶わないかわからないけれど、
ぼくは見守る立場からもう一歩踏み出して、自分から彼に告白したのだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
web拍手用SS、「頑張りやな君へのお題」の「見守る達時からもう一歩」です。4日にヒカル視点の話が載っています。
|