人のブログで見たのがあまりにも美味しそうだったので、塔矢を連れて無理矢理パンケーキの店に行った。
「ここのふわっふわのパンケーキが有名でさ」
出て来たものは確かに柔らかくふわふわで、添えられたバニラアイスをしみこませながら食べたら最高に美味しかったのだが、塔矢は美味いとも不味いとも言わず、ただ淡々と食べ続けた。
「おまえさー、いくら甘いもんがそんなに好きじゃないって言ってもさ、もう少し表情筋を使ってもいいんじゃねーの」
このままでは一人ではしゃいでいる恥ずかしいヤツになってしまうと思いそう言うと、塔矢はちらりと目を上げておれに言った。
「確かに悪くは無いけれど、キミが作ってくれたものの方がずっと美味しい」
ええっ、今ここでそれを言う?
言葉に出してはそう言ったけれど、まんまと指の先まで赤くなってしまったおれは、今度こいつに吹く程たくさん美味いパンケーキを作ってやろうと心で誓ってしまったのだった。
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