真夜中にいきなり電話をかけて来たと思ったら、受話器の向こうで塔矢が言った。
『愛してるって言ってくれないか?』
「愛してるよ」
世界中で一番好きだ。そうおれが言うとしばらく黙り、それからぽつりと『ありがとう』と言って電話を切った。
あいつが今どんな気持ちで、どうして電話をかけて来たのかはわからない。
たぶん聞いても答えないし、だからおれも尋ねたりしない。
それでも時折忘れた頃にそんな電話をかけて来るから、おれは自分がどこに居て何をしていても、あいつからの電話には必ず出て「愛してる」と伝えることに決めている。
|