| 2011年06月24日(金) |
(SS)完全室内飼い |
「おれ、もしおまえが猫だったら、家ん中閉じ込めて一生外に出さないかも」
のんきに動物が出てくるテレビ番組を見ていたかと思ったら、進藤はいきなり振り返るとぼくに言った。
「なんで?」
独占欲が強いのは知っているけれど、自由まで拘束するタイプでは無いと思っていたので意外だった。
「だってさ、なんか猫って交尾したらほとんどの確率で子どもが出来て、しかも腹ん中の子どもが父親違うってのもアリなんだろ」
おまえはおれだけのものなのに、明らかにおれの子どもじゃない毛色の子どもが混ざってたら、絶対そんなの許せないからと、途中から人と猫の話がごっちゃになっていることに、本人は気がつかないまま怒っている。
「そもそも発情期のメスって来る者拒まずみたいじゃん」 「ストップ」
止めないとしょうもない妄想がどこまでも続いてしまいそうだったので止めた。
「そもそもどうしてぼくがメス確定なんだってことは置いておいて、なんでキミはぼくが複数と交尾するなんて思うのかな」 「だって美人だし、他のヤツ絶対放ってなんかおかないと思うし」
みんな行列作って交尾に来るぜと大まじめに言うので笑ってしまった。
「それでも、キミはぼくを信用しなさすぎる。ぼくは例え猫だったとして、理性で押さえられないようなそんな発情の時期だったとしても、絶対にキミとしか交わったりしないよ」 「…でも」 「でももクソも無い。だからもしぼくが猫で子猫を出産したとして、それは全部虎猫だから安心しろ」
一生涯、キミの子どもしか生むことはないよと言ってやったらやっとほっとした顔になった。
「…あ、でもなんで虎柄?」 「キミ、若虎なんだろう。だから猫になってもきっと全身虎柄だ」
良かったな、ぼくは虎柄の猫は可愛くて好きなんだと言って頭を撫でてやったら進藤は一瞬不満そうな顔をしたけれど、すぐに満面の笑みになった。
「それって、おれのこと大好きってこと?」 「さあね、どうだろうね」 「好きだよ。だってそうでもなけりゃ、一生涯なんて言うわけねーもん」
つまり、おまえは一生おれとしかえっちしない。
おれ以外を絶対好きになったりしないって言ったのと同じだもんと、それこそじゃれてくる子猫のようにぼくに抱きつくと、いかにも幸せそうな顔をしたまま、それでも子猫では無い証拠に、ぼくと『交尾』をするために、手と口を使い始めたのだった。
※※※※※※※※※※※※※ 変な話ですみません。
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