SS‐DIARY

2010年06月16日(水) (SS)進藤ヒカルが大好きだ!


進藤ヒカルが大好きだ。

そういうと皆一様に怪訝そうな顔をする。

「まあ…確かに才能のある棋士だとは思いますけれどね」

でもあの行儀の悪さはいただけない。態度も悪ければ口も悪い。

もう少し棋士として考えて行動してくれればいいのにと、中にはぼくを見習ってくれればいいのにとまで言う人も居る。

「でも彼はあれで後輩の面倒見もいいし、人に慕われる性格なんですよ」

そう言うと少しは納得出来たのか「まあね」と渋々頷いてくれる。

「でもねぇ、いくら今時の若者って言ってもねぇ」

服装がだらしない。時間にルーズだ。何よりも先達に対する尊敬の念が足りないと、悪口のオンパレードは止まらない。

確かに行儀がいいとは言えないし、言葉も乱暴だとは思う。

でも進藤はとても勉強熱心だし、人が思っている程無礼でも考え無しでも無いのだ。

口だけでろくに学ぼうとしない、今の位置に満足してそれより上を望もうとしない。そんな人達よりもずっと向上心があり志が高い。

そして何よりも囲碁を愛し、囲碁というものを誰よりも大切に思っている。


「そんな事無いぜ?」

おまえのこともそれ以上に愛してるし、大事に思っているぜとぬけぬけと言う。

無邪気なくせにくせ者な、そんな彼が大好きだと、でもこれは誰にも絶対に教えられないぼくだけの嬉しい秘密です。


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