| 2010年01月25日(月) |
(SS)永遠の歌−返歌 |
覆った手から涙がこぼれる。
泣いているとも自覚していない涙ほど、始末に負えないものは無い。
悲しいとか、悔しいとか、そんな言葉で言い尽くせない、この気持ちは一体どうしたらいい。
辛いとか、苦しいとか、そんなことを言うのは間違っているし、頼りたいとも救われたいとも思わない。
だから、ずっと側に立って居られても、おれは何も出来ないし、何を言うつもりも無い。
邪魔だから居なくなれと言えたならいっそ気持ちが楽なのに、それすらも出来ないのはたぶん気力が無いからで、少しでも力が残っていたならば、たぶん汚い言葉で罵っている。
望んでいないのに居られても困る。
耐えているのに手一杯で人のことまで考えられない。
なのにどうして去らないのかと―。
おまえなんかいらない、どこかに消えろ。
言ったら本当に楽になるのに、それでも口が開かないのは食いしばった歯を少しでも解いたら泣き声が音としてこぼれ出すから。
おまえはおれを泣かせてもくれないのかと、それすらも許してくれないのかと恨めしい気持ちで思いながら、でも同時にこうもおれは思ってた。
おまえなんかいらない。
一人にして欲しいけど、でもやっぱり。
やっぱりずっとそこに居て――と。
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