進藤が泣いていたからぼくは側に立っていた。立っているだけで何も出来なかったけれど、立ち去ることも出来なかった。今、キミがどんな気持ちでいるのかぼくには本当はわからない。でもキミが痛みを感じていることだけはよくわかる。心の痛みは人には癒せない。人で無いものだってきっと彼を癒せない。だからぼくは一人立つ。他に誰も居なくなっても。彼がそれを望まなくても。ぼくがそれを望むから。彼が俯いたその顔を上げるまで永遠に一人で立ち続ける。ぼくにはそんなことぐらいしか出来ないから―。