「暑い…」暑いねと言っても進藤は返事をしなかった。「進藤」「だから?」暑いからどうだって言うんだよと言って掴んだままのぼくの手首を更に強く握りしめる。冷房も何も効いていない、じりじりとした暑さの南向きの部屋。ぼくは掴まれた所から汗が伝って流れ落ちるのをただだまってじっと見詰め続けた。