SS‐DIARY

2009年04月11日(土) (SS)神聖にして侵されざるべき


進藤は一瞬呆気にとられた顔をした。

そして次に苦笑したように笑って、差し出された扇子にやはり差し出されたマジックでさらさらとサインをしたのだった。

「ほら、おまえも書けよ」

集中を途切れさせられて心底腹をたてていたぼくは、冗談じゃないと彼を睨みつけたけれど、進藤は「まあ、いいじゃん」と相手にしない。

「こんなこと、きっと一生に一度あるか無いかだろうし、それにこれでおれに負けるようなおまえじゃないだろう?」
「当たり前だ」

バカなことを言って貰っては困るとぼくはほとんどひったくるようにして扇子とマジックを受け取ると、彼のしたサインに並べてサインをして、そもそもの信じられないルール違反をしたその老記者にむっとした顔のまま渡したのだった。

「こんなことはこれきりです。お願いですからもう二度としないでください」

ぼく達にも、ぼく達以外の人達にもと言ったら相手は初めて自分のしたことに気が付いたかのように顔を朱に染め、それから「すみません」と謝ったのだった。


「さ、それじゃ始めるぜ?」
「キミの番だろう、ぼくはずっと待っている」
「そうだな、うん」


そして今度は苦笑では無く可笑しそうに笑って進藤は盤に目をやった。

サインをねだられた瞬間のびっくりしたような顔から切り替わり、タイトルを守るために戦う本因坊へ。

ぼくもまた彼からタイトルをもぎ取る挑戦者へと溜息と共に立ち戻ると、ぼく達は再び神聖で侵されざるべき二人だけの世界に戻ったのだった。




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私の昨日のトップニュースはこれでしたよ(苦笑)いやーこんなことする人が居るんだ!

ダメだろ、どうしてそんな年になってそんなこともわからんのだ。

これは将棋でしたが即座に囲碁だったらと思ってしまいました。そしてヒカルとアキラだったらと。

ヒカルは苦笑してサインをすると思う。

アキラは…アキラは自分がねだられたのだったらするような気がします。さらさらと書いてぺっと放り出してそれでまた集中だ!

いや、でもダメですよ。とにかくこんなことはあってはならんことだと思います。


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