SS‐DIARY

2006年06月10日(土) (SS)犬と呼んでください

吸う吸わないは個人の自由だと思うのだけれど、流石に二十歳を超える頃には周囲はほとんどみんな吸っているようになったので、おれはやらないんだと言うとガキと言われてしまう。

「なんで? その年で体のこととか気にしてんの?」
「別にそういうわけじゃないけどさ」

さてはおまえ最初に吸った時に目ぇまわした口だろうと笑われたりもして、今ではすっかりそういうことになっているけれど実は違う。

中学を出たばかりの頃に好奇心も手伝って父親のをちょろまかして吸った煙草は別に不味くは無かった。

人の話で聞くように、むせたりとか気持ち悪くなってぶっ倒れたりとかは全く無く、体質に合っていたのだろう、もっと吸いたいとさえ思った。


それがなんで吸わないのかと言うと、その日の午後塔矢に合った時に言われたからだ。

「キミ…煙草を吸っているのか?」

吸ったのは午前中で、親にもバレたらヤバイと思ってご丁寧に歯を磨き、シャワーまで浴びたというのに、何故か塔矢はたった一本吸った煙草のことを会うなり一目で見破ったのだった。

「吸うのはキミの自由だけれど、でも…ぼくはキミに吸って欲しくない」

だってキミはぼくとずっと打つと言ったのじゃないかと、伏し目がちに言われて耳まで赤くなるような気がした。

「だから健康を害する恐れのあるものはなるべくやらないで欲しい」

これは単にぼくの我が儘なのだけれど、なるべく長くぼくはキミに側に居て欲しいからと重ねて言われて心に誓った。


おれはもう二度と煙草は吸わない。

例えガキと言われても、バカにされても絶対に絶対に絶対にもう吸わない。


だって一本の煙草より、おれにとって塔矢の方が何百倍も何億倍も、もっともっと大切だとその時に気がついたからだ。


以来その誓いを守り続け、おれは全く吸ってない。

酔った席などでからかわれると少し悔しい気分にもなるけれど、後悔は無い。

だって美しくて愛しくてたまらない恋人が、キスをするたび煙草の香りがしないことを未だに褒めてくれるからだ。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

喫煙者の人ごめんなさい。単にうちのアキラさんがあまり好きでは無いというだけで、私自身は個人の自由だと思っています。

そして、「酒はいいのか?酒は?」というツッコミがあるかと思い補足。
アキラさん曰く「酒は百薬の長だからね」ということです(爆)
なのでうちの二人は酒飲みです。←おいおいおいおい。


 < 過去  INDEX  未来 >


しょうこ [HOMEPAGE]