犬のように脇腹を舐めたらくすぐったいと笑った。
「なに?まだし足りなかった?」
なるらかな肌の、染み一つ無い上に舌を這わせると、表面が細かに震える。
「こら、何がしたいんだ、何が」
つい今し方したばかりなのに、まだしたいと言うのかと、くすくすと、でもそれほどはこまった様子でもなくあいつは笑う。
「そんなんじゃないけど、なんか美味そうだったから」
舐めさせてよ
食わせてよ
歯をたてさせてよと、囁きながら舌の動きを止めないでいたら、「あ」と小さく声が上がった。
「こら! 野良犬め」
恥ずかしかったのだろう、頬を微かに染めながらあいつが怒ったような顔をした。
「ちゃんと、しつけないとだめだな」 「しつけ?」 「そう、キミみたいにイタズラばっかりする野良犬は今のうちにちゃんと躾ないと」
睨んで、でもそれからふっと優しい顔になる。
「おいで」
何をされるのだろうかと思いながら見つめるおれに苦笑したように笑うと、あいつはおれの頭を抱き寄せて、それから髪をかき分けるようにしてそっとキスをしてくれたのだった。
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なんてことはない休日のワンシーンということで。
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