どうして彼はいつも声を殺して泣くんだろうか。
気がついた時、進藤は布団の上に半身を起こしたまま、両手で顔を覆って泣いていた。
こんな夜に、ついさっき幸福に愛し合った恋人が肩を振るわせて泣いている。
その理由がわからずに、でもこんなふうに闇の中で一人で泣いているのは、なんだかとても彼という人に合っているようなそんな気持ちになってしまって、それがすごく悲しかった。
笑っているばかりで自分の傷は決して見せない。進藤はそういう人だから。
「進藤」
声をかけても返事をせず、ただ声を殺し泣き続ける。
泣き女というものがあるけれど、泣き男というものもあるんだろうかと、ぼんやりとバカなことを考えた。
泣く女の姿は悲しさに満ちているけれど、泣く男の姿は、ただひたすらに悲しいなと、そう思ったら胸が痛んだ。
「泣かないで…進藤」
手を触れることもためらわれる、彼の悲しみはとても深い。
「キミが泣くと…ぼくも辛い」
愛している、それだけでは、どうにも出来ないこともあるから。
ぼくは彼の体を抱きしめると、彼が疲れ果てて眠るまで、共に静かに泣いたのだった。
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ヒカルの全てを受け入れる人、それが私の中のアキラです。
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