| 2004年07月08日(木) |
(SS)風邪ひきの日 |
「何が食べたい?」と言うので
何も欲しく無いと言ったら睨まれた。
なんでもいいからちょっとでも食えと、「じゃあ、杏仁豆腐」と言ったら速攻で買って帰ってきた。
「はい、口あけて」
息が荒いので、走って買ってきたのだとわかり、バカだなあと思う。
バカだなあ
本当になんてバカなんだろう。
こんな真夜中にぼくのために走るなんて。
そう言ったらおまえこそバカだ、おまえのためでなきゃ誰が走るもんかと言われてしまった。
「だっておまえ、一昨日からなんにも食べて無かったから」
せっかくちょっと熱が下がったんだから、少しでも食べて欲しいんだと、汗も拭わずに、ただぼくに食べさせようとする。
「おれ…おまえが、このまま死んじゃったらどうしようって思ったんだぞ」
気軽に言いながら、でも声音は不安そうだった。
「死なないよ、風邪くらいで」
微笑むと、泣き笑いのようにして進藤も笑う。
「うん、絶対そうして。お願いしマス」
そう言った顔があまりにも切なかったので―。
もう絶対に絶対に熱なんか出さないと、冷たい一口を喉の奥に感じながらぼくはそう心に決めたのだった。
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風邪ひきネタです。
桃缶もおいしいですが、杏仁豆腐もおいしいと思います。
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