エンターテイメント日誌

2006年11月23日(木) 暗黒のL.A.4部作

小説家ジェイムズ・エルロイによる「暗黒のL.A.4部作」といえば「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」「L.A.コンフィデンシャル」「ホワイト・ジャズ」を指す。「L.A.コンフィデンシャル」はご存じの通りカーティス・ハンソン監督で映画化され、アカデミー脚本賞・助演女優賞緒受賞した名作である。そして今回は映画「ブラック・ダリア」の登場と相成った。

「ブラック・ダリア」は好きな小説だ。エルロイ自身が10歳の時に母を惨殺されるという過去を持ち、「ブラック・ダリア」はその母に捧げられた小説で力が入っている。監督は流麗なカメラワークで知られるブライアン・デ・パルマであり期待していた。デ・パルマの映画は「悪魔のシスター」(1973)「ファントム・オブ・パラダイス」(1974)「キャリー」「愛のメモリー」(1976)など初期の時代から観ていてこれが10本目なのだが、今までで一番面白くなかった。大いに失望。評価はF。

どうしたらあの傑作小説をこんなに退屈に撮れるのか摩訶不思議である。まず脚本がダメ。物語を端折りすぎで、原作を読んでいる筆者でさえ混乱した。登場人物に魅力の欠片もなく、「マッチ・ポイント」であれだけ輝いていたスカーレット・ヨハンソンもまるで別人みたいに精彩を欠く。オスカーを2回受賞したヒラリー・スワンクも完全なミスキャスト。彼女を出す意味がない。この映画はもう救いようがない。

そうだな、唯一褒める点があるとすればマーク・アイシャムの音楽。彼のフルモグラフィーの中では一番メロディアスで印象に残った。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]