エンターテイメント日誌

2006年11月18日(土) プラダを着たメリル

俳優としてアカデミー賞最多受賞者はキャサリン・ヘップバーンの4回である。彼女の記録をあと50年以内に塗り替えることが出来る役者がいるとしたら、それはメリル・ストリープを措いていないだろう。メリルは「クレイマー・クレイマー」で助演女優賞、「ソフィーの選択」で主演女優賞を受賞しているがノミネートに関しては13回で史上最多である。そして「プラダを着た悪魔」で間違いなく14度目のノミネートとなるであろう。考えてみればメリルのような大女優が2回しかオスカーを獲っていないというのは余りにも少なすぎる。だってジャック・ニコルソンが3回(「カッコーの巣の上で」「恋愛小説家」「愛と追憶の日々」)、トム・ハンクスだって2回(「フィラデルフィア」「フォレスト・ガンプ」)受賞してるんだぜ。女優だったらヒラリー・スワンクも2回(「ボーイズ・ドント・クライ」「ミリオンダラー・ベイビー」)だ。トムやヒラリーとメリルが同格?あり得ない!!

「プラダを着た悪魔」の評価はB+。とにかく面白い。お洒落で格好いい映画だ。ファッション業界が舞台なので画面が華やかで豊穣な雰囲気に浸れる。女と女の戦いがスリリングで目が釘付け。まるでファッション界の「イヴの総て」みたいだ。ただ、アン・ハサウェイ演じるヒロインが最後に下した結論が筆者には納得出来ないのでA評価になり損ねた。彼女にはイヴのように胸を張って颯爽と生きていって欲しかった。

とにかくメリルが素晴らしい。圧巻である。女王然とした威厳。匂い立つ気品。考えてみれば彼女の今までの役柄は野暮ったい田舎女が多くて、このようなファッショナブルで洗練された女性の役は記憶がない。是非これで3度目のオスカーを受賞して欲しいところだが、難しいだろうな。なぜならアカデミー会員はコメディに冷たいからである。シェイクスピア悲劇みたいなもっと深刻な役が好みなのね。

テンポの良い演出も特筆に値する。映画の冒頭、流れるようなカメラワークとともに台詞一切なしで、紹介がてら登場人物たちの個性を的確に描き分けて見せる技など心憎い。

基本的に筆者はジュリア・ロバーツとかアン・ハサウェイとか口のデカイ女は嫌いである。彼奴ら口裂け女どもはガハハと下品に笑う。その醜悪さは正視に耐えない。しかし、「プラダを着た悪魔」でのアン・ハサウェイは好演。着せ替え人形としては及第点だろう(←それって、褒めてんだか.....)。「セックス&ザ・シティ」の衣装デザインでエミー賞を受賞したパトリシア・フィールドのコーディネイトで初めて彼女の美しさが映えた。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]